バド黒髪染め謝罪会見 桃田ぼう然 誘った田児号泣

会見で涙を流す田児(左)の横で神妙な表情を見せるバドミントンの桃田

 過去の違法な賭博行為で、リオデジャネイロ五輪出場が絶望的となったバドミントン男子シングルス世界ランク2位の桃田賢斗(21)が8日、12年ロンドン五輪代表の田児賢一(26=ともにNTT東日本)とともに都内で謝罪会見を行った。桃田は反省の言葉を口にしながらも、現実を受け止められない様子で「この先どうなるか分からない」とぼうぜん。桃田を違法カジノ店に誘った田児は「桃田は日本の宝、もう1度チャンスを」と涙で懇願した。

 表情を変えず、淡々とした口ぶり。1時間10分の会見中、桃田はぼんやりとしていた。違法な賭博行為が明るみに出てから2日。帰国時の茶髪を黒に染め直し、黒いスーツで会見に臨んだ。まだ現実を受け止めきれていなかった。

 桃田 本当に今は自分でもこの先どうなるか分からなくて、4年後なんか全く見えず、今は、してしまったことへの反省や申し訳ない気持ちでいっぱいです。

 目前に迫ったリオ五輪も、4年後の東京五輪も見えない状況。「今はバドミントンが充実していて集中している中で、意識していなかったところからこうなってしまって…」。どうして? という複雑な思いが透けて見えた。

 14年8月、世界選手権で訪れたデンマークで賭博を初めて経験した。同10月、先輩の田児に誘われたのをきっかけに今回問題となっている錦糸町のカジノ店に通い始めるように。1度に数万から10万、計6度で約50万円負けた。

 桃田 いけないこととは分かっていた。でも、入ってはいけない所に入る好奇心、楽しんでいる自分もいた。スリル感だったり、そういう気持ちから感覚がおかしくなって。日本のカジノに行ってもそんなに(思わなかった)。感覚がおかしくなってきたのかなと。

 14年末、全日本選手権決勝で敗れ「自分の中で何かが変わった」。15年1月からは一切ギャンブルをやらず、バドミントンに打ち込んだ。賭博のことは誰にも言わず隠してきた。遅すぎるが取り沙汰されて初めて、事態の重さに気付いた。

 桃田 社会人として、自分で気付いて正しい行動をいけないはずなのに、自分を止められない弱さがあったかなと思います。

 反省する気持ちとは裏腹、言葉は軽く響いた。

 淡々とした桃田とは対照的に、田児は頬を伝う涙を何度もぬぐいながら繰り返し、訴えた。

 田児 自分は2度とバドミントンができなくなってもいい。桃田のような日本のバドミントンにとっても、わが社にとっても宝物のような選手を自分のとった行動でこのような事態にしてしまった。自分の立場でこういうことをいうのはおかしいですが、桃田にもう1度チャンスを与えてやってください。お願いします。

 テレビカメラ12台。彼らの謝罪の様子が生中継で全国に流れる。バドミントン新旧エースの名は、最悪の形で広まった。【高場泉穂】