初出場の平成、初陣飾る 秋田の新時代幕開けだ

シュートを決める平成・大日向(撮影・秋吉裕介)

<全国高校バスケットボール選抜優勝大会:平成85-83佐世保工>◇第2日◇24日◇男子1回戦◇東京体育館

 秋田に新時代が訪れた。初出場の平成(秋田)が、激しいシーソーゲームを制して全国1勝を手にした。佐世保工(長崎)と第3クオーター(Q)以降、両チーム4点差以内の緊迫した展開を、持ち味の走るバスケットで耐えた。第4Q終盤は守備で踏ん張って失点を防ぎ、85-83と振り切って2回戦に進出した。大会最多20度の優勝を誇る名門・能代工に代わってコートに立ち、今夏の全国高校総体初戦敗退の悔しさも晴らした。

 平成新時代が幕を開けた。同じスピードを武器にする佐世保工との激闘は、第4Q81-83から内藤達也(3年)が連続して2点シュートを決めた。夏の総体でつかみ損ねた全国1勝は、最高のクリスマスプレゼントになった。主将の三浦杏太(3年)は「とてもうれしいです」と、簡潔な言葉で実感を込めた。

 最長身は藤原貴史(3年)の184センチで、全国では高さで劣る。そのため攻守に走り回る。その持ち味を最後まで貫いた。得点を許せば試合が決まりかねない第4Q終盤に、走力が生きた。体を寄せる激しい守備で失点を防ぎ、ルーズボールを拾った。佐々木信吾コーチ(43)は「自分たちを出せたのが、あの子たちの成長」と褒めた。

 優勝した県大会での対戦はなかったが、今大会は、71年の第1回大会から46回連続出場していた能代工に代わって初出場。6月の全国総体県大会決勝で対戦し、100-68と完勝した。能代工の連覇を47で止めて、初めて夏の全国舞台に立った。県立の新鋭校として、一躍注目を浴びていた。

 今回は決して名門の“代役”ではない。能代工OBでもある佐々木コーチは「あの子たちはこのチームで覚悟して踏み出した」と言った。両チーム最多27得点の大日向裕也(3年)は「県内(の中学)だけで集まるチームで、能代工を倒したいと思った」と入学の動機を明かす。初出場の重圧よりも、平成の、秋田の新しい歴史をつくるためにコートに立った。

 佐々木コーチは「クオリティーの高い秋田のバスケットを知っている全国のみなさんには物足りないかもしれませんが、これが僕らの全力」と話したが、平成カラーを存分に発揮しての初陣1勝。今日25日の2回戦は強豪・市船橋(千葉)と顔を合わせる。「100%チャレンジャー」(同コーチ)で、新時代を切り開いていく。【久野朗】

 ◆秋田県勢の出場校 1県1校制となった90年より前は、東北の出場枠は2~3。秋田では能代工が昨年まで46回皆勤で出場していたが71年に大曲工、84、86年に秋田工、85年に大曲農が出場した。大曲工と秋田工は白星も手にしており、平成で県勢4校目の勝利となった。