水谷隼史上初9度目Vへ 初V母校サッカー部に刺激

全日本選手権・開会式前に、天皇杯を手に笑顔を見せる水谷、右は石川(撮影・鈴木みどり)

<卓球:全日本選手権>◇16日◇東京体育館◇男女シングルス1回戦ほか

 青森山田魂で男子シングルス史上最多9度目の優勝をつかむ。リオデジャネイロ五輪で男子シングルスで銅メダル、団体で銀メダルを獲得した水谷隼(27=ビーコン・ラボ、青森山田中高出身)が母校愛を語った。9日に同校が全国高校サッカーで初優勝。サッカー部の黒田剛監督(46)とは昨年10月に食事をともにするなど刺激を受けた。出身の卓球部は強化期間が終了し、目立った活動がない。強豪の復活を願い、再び青森で練習したいと話した。

 母校の活躍がうれしかった。水谷は青森山田サッカー部の快挙について笑顔で話し始めた。「優勝してうれしい。圧倒的だったので、まぐれじゃない。1回だけでなく、連覇していって欲しい」と5戦20得点と力の差を見せて全国制覇したことを喜んだ。今大会は自らも5連覇&9度目の優勝がかかる大会。「史上初となる9回の優勝を目標にしてきた」と自らも圧倒的な成績を見せると意気込む。

 サッカー部と縁があった。昨年10月に青森市民栄誉賞の授与式に参加するため、女子団体銅メダルの福原愛と青森に戻った。その際に福原と親交の深いサッカー部の黒田監督と食事をともにしていた。「ご飯を食べた時に『今年は優勝できる自信がある』と聞いていた。でも、まさか本当に優勝できるとは」と有言実行の快挙に驚いた。黒田監督との思い出を振り返り「高校の時廊下を歩いていたらシャツが出ていたのか、すごい怒られた」と笑った。

 母校への愛は深い。現在、同校の卓球部は強化が終了。16年3月に高校総体を優勝した三部航平(現専大1年)らが卒業して以降、目立った活動がない。昨年8月の時点で中高の男子部員が各1人ずつという状態だ。中高と雪深い青森から各地に遠征し「青森山田に入って、ドイツに行けた。そこでいろんな世界が見られた。いろんな学校を見てきたけど、あそこまでいい環境の学校はない」と6年間が礎となったと話す。

 だからこそ、復活を願う。「もう1度、あの強い青森山田が復活して欲しい」と再び輝く日を夢見る。福原や男子団体銀メダルの丹羽孝希を輩出した母校が卓球界の中心であってほしい。「また、できたら青森で練習したい」。青森山田卓球部出身の誇りを胸に、前人未到9度目の全日本選手権制覇に挑む。【島根純】