35歳フェデラーV 錦織世代に待った!最多18勝

優勝のマッチポイントの際にチャレンジが成功し絶叫するフェデラー(ロイター)

<テニス:全豪オープン>◇29日◇メルボルン◇男子シングルス決勝

 世界17位のロジャー・フェデラー(35=スイス)が、7年ぶり5度目の優勝を果たした。同9位のラファエル・ナダル(30)に6-4、3-6、6-1、3-6、6-3で勝ち、自身が持つ4大大会の男子の歴代最多優勝回数を18に更新した。35歳での優勝は68年のオープン化(プロ解禁)以降の4大大会で、71年に36歳、72年に37歳でともに頂点に立ったローズウォール(オーストラリア)に次ぐ年長記録。フェデラーは今日30日発表予定の世界ランキングで10位に復帰する。

 もしかしたら、偉大な両者の最後の4大大会決勝だったかもしれない。センターを埋め尽くした1万5000人の観客は、郷愁とともにテニスの歴史に酔いしれた。「人生の中で最も美しい感動的な日だ」。フェデラーは、若い時と同様に顔をくしゃくしゃにし涙にぬれた。

 最後のマッチポイント。フェデラーのフォアは審判の判定はイン。ナダルがビデオ判定を要求したが覆らなかった。04年の初対戦から通算35戦目の決着は、最新機器でもたらされた。「ちょっと戸惑った。でもすぐに信じられない感情がわいてきた」。

 フェデラーが勝ってナダルが敗れた。しかし、そこに勝者と敗者はなかった。「お互いに特別な存在だ」。両者合わせて計32度の4大大会優勝。3時間38分のドラマは、テニスの歴史そのものだ。その証人になろうと、定価で最高額の774豪ドル(約6万8000円)のチケットは再販で2万5000豪ドル(約220万円)までつり上がった。

 フェデラーは、昨年2月、左ひざの内視鏡手術を受けた。昨年7月以降の大会を欠場し、世界ランクは17位にまで転落。「5カ月前には、この2人で決勝で戦っているなんて思わなかった」。昨季、両雄の時代は終わったと言われた。今季は世界1位のマリー(英国)と同2位のジョコビッチ(セルビア)が君臨し、そこに錦織らの中堅、新世代が絡むと予想された。しかし、両者は不死鳥のようによみがえった。【吉松忠弘】

 ◆ロジャー・フェデラー 1981年8月8日生まれ、スイス・バーゼル出身。09年、男子6人目の生涯グランドスラム。04年2月から08年8月まで史上最長の237週連続で世界ランキング1位となり、通算302週も史上最多。185センチ、85キロ。35歳。

 ◆WOWOW放送予定 2月2日午後5時半~、午後7時~、男女シングルス決勝。同4日午前7時15分~、午前8時15分~、車いすテニス男女シングルス決勝。同5日午後9時~、全豪オープン総集編。WOWOWライブ。録画放送。放送時間変更の場合あり。