錦織圭、世界4位狙う 5月前半までクレーに重点

錦織のコート別勝率

<テニス:アルゼンチン・オープン>◇15日◇ブエノスアイレス◇男子シングルス2回戦

 世界5位の錦織圭(27=日清食品)が、今季クレー(土)初戦を逆転勝ちで飾った。同50位のシュウォーツマン(アルゼンチン)に5-7、6-2、6-2のフルセットで勝ち、ベスト8に進出した。準々決勝は、同41位のソウザ(ポルトガル)と対戦する。例年のこの時期は4連覇したメンフィスオープンに出場していたが、今年はクレー強化のため、今大会に5年ぶりに出場した。

 錦織の首筋から汗がしたたり落ちた。気温は25度前後だが、湿度が80%にもなった。蒸し暑さと、クレー特有の不規則バウンドに苦しみ、「厳しいコンディションだった」。トップ10からは、錦織1人だけの出場で、今大会ダントツの第1シード。「第2セットからは主導権を握れた」と意地での逆転勝ちだ。

 この時期、5年ぶりにクレーの大会を選択した。相性の良かった室内ハードコートのメンフィスオープン出場を取りやめ、2週前に行われた国別対抗戦デ杯の代表も辞退した。「新たな試み。2週連続でポイントを取りにいく」。来週のリオオープンと合わせ、自身初の2週連続優勝を狙う。

 5月の全仏まで、今年の前半をクレーに重きを置く作戦だ。クレー、ハード、芝と3種類あるコートで、クレーが71・8%と勝率が最も高い。全仏まで、今大会を含み7大会出場予定だが、そのうち5大会がクレーとなる。そこには、大きな目標がある。

 現在の世界ランクを全仏までに4位以内にどうしても上げたい。「4位と5位では大きく違う」。4位以内になれば、4大大会でジョコビッチ、マリーら上位陣と準決勝まで対戦しない。もちろん、1月の全豪のように、ランクを落としているフェデラーと4回戦で当たる不運もある。しかし、上位進出の可能性は高くなる。

 悲願の4大大会優勝に向け、勝率の高いクレーに懸けた。この日、試合中に「少し硬くなった」と、両足にマッサージを受けた。球足の遅いクレーは、ラリーが長引くタフさを必要とする。2週連続の消耗戦だが、ともに第1シード。第1シードで決勝進出を逃したのは、たった1回きりだ。

 ◆錦織の第1シード大会 ツアーで過去第1シードだったのは7大会。そのうち6大会で決勝に進出している。その6大会中、5大会が優勝と、第1シードでの優勝確率は非常に高い。決勝進出を逃したのは、昨年の楽天オープンだけ。2回戦で、左でんぶを痛めて棄権した。