世界最高峰リーグ「スーパーラグビー(SR)」参戦2年目の日本チーム、サンウルブズは、25日に東京・秩父宮で昨季王者ハリケーンズとの開幕戦に臨む。日本代表のジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチが「代表はサンウルブズから選ぶ」と強調する中、昨シーズンまで海外チームでSRに参戦していたSH田中史朗(32)、FB松島幸太朗(23)の2人も合流。代表の主力コンビが、今季の意気込み、ベスト8進出を目指す19年W杯、日本代表への思いについて語った。【取材・構成=奥山将志】
代表でも同部屋と仲の良い2人。シャイで知られる松島だが、9歳上の「闘将」田中の前では、意外にも自然体でいられるという。
田中 こいつが20歳ぐらいで初めて代表に入った日に、話す人がいないだろうからと思ってコーヒーをおごってあげたんです。丁寧にお礼を言ってきて、いいやつだなと思ってたら、翌日には「お前」って。そこからため口です(笑い)。
松島 そうだっけ? 必要以上に話しかけてこないから一緒にいて楽。空気みたいな感じですね。
和やかな2人の話は、海外チームのオファーを断り、サンウルブズ入りを決めたところから始まった。
田中 日本代表への思いだけですね。ジェイミーとも話をしましたし、年齢的にも19年W杯はラグビー人生で最後の目標。とにかくそこで結果を残したい。
松島 自分も同じです。代表の期間は決まっているし、海外でやっていた選手が集まってくれば代表の連係も良くなると思う。
13年シーズンに田中と堀江が日本人で初めてSRの扉を開き、その経験は15年W杯での躍進にもつながった。今季のサンウルブズは代表キャップ保持者が昨年の13人から34人に増え、19年を目指す体制は整った。だが、合宿ではまだ物足りなさも感じたという。
田中 (前日本代表HCの)エディーが言っていたが、日本人は100メートルを100本走れと言えば文句を言いながらも走る。その精神はW杯でも生きたけど、悪く言えば、言われたことしかやらない。コーチに自分のだめな部分を聞きにいくとかは、海外では当たり前。もっと自分から動かないと上には行けない。
「戦う」集団への変化は松島も求めている。
松島 (15年に所属した)ワラタスでは、キャプテンが悪い選手を名指しで怒っていた。日本は意見を言える人はいるけど、怒れる選手はあまりいない。(田中の方をちらりと見る)
田中 それは日本の悪い部分やな。俺はこれからも言うよ。サンウルブズにないものを持っていると思うし、それは伝えていく。
松島 シーズン通してがみがみ言い続けてほしい。
田中 褒めたくないけど、こいつが日本を選んでくれたのは大きい。南ア代表になる可能性もあったし、オーストラリアでも認められている。高校を出てすぐ海外に出てプロとしてやっているのは、俺とか堀江が行ったことよりもはるかに意味があると思う。
松島 …。
田中 ただ、俺は大卒やけどな(笑い)。
松島 大学なんていつでもいけるから。
開幕が迫る中、新戦力への期待も聞いた。
田中 おっと思ったのは(WTB)中鶴。スピードだけじゃなく、ボールへの反応が速い。体重をもう少し増やして、あのスピードでやれれば十分やれる。
松島 自分は(フランカーの)松橋かな。体は小さいけど、強い。大きい選手にもタックルにいけるし、気持ちも強い。あの激しさは注目ですね。
昨季は1勝1分け13敗のリーグ最下位。今季は、そこに強豪ニュージーランドのチームとの対戦も加わる。
松島 少ないチャンスをミスせずに取り切るかどうか。あとは、きつい局面での我慢。去年は僅差で負ける試合が多かったし、勝ちきれるチームにしたい。
田中 サンウルブズは、最終的には代表強化のためだけど、やるからには勝たないとだめ。最低でも去年よりは勝ちたいですね。