宇野昌磨 羽生に“初勝利”合計順位ないけど…

男子フリーで演技をする宇野(撮影・山崎安昭)

<フィギュアスケート:国別対抗戦>◇第2日◇21日◇代々木第1体育館◇男子フリー

 世界選手権銀メダル宇野昌磨(19=中京大)が、初の“羽生超え”を果たした。演技後半の4回転フリップは失敗も、3本の4回転ジャンプに成功。フリーは198・49点で羽生に次ぐ2位。団体戦のためSP、フリー合計の順位はないが、合計点302・02点は国際スケート連盟公認で284・00点の羽生を上回った。昨季のシニア転向から7度目の直接対決で羽生から“初勝利”を挙げた。

 急成長中の宇野が、合計点で羽生を上回った。シニアで7度目の直接対決。団体戦のために「ユヅ君と1位、2位を取ればチームに貢献できると思った。(合計点が上でも)特に何にも思わないです」と言った。ただ国際スケート連盟公認の合計点で羽生から“初勝利”を挙げたのは事実だ。

 3年4カ月前の羽生をほうふつとさせる。14年ソチ五輪金メダリストは13年12月、世界選手権3連覇中の絶対王者チャン(カナダ)を撃破。勢いに乗り2カ月後に金メダルを獲得した。

 宇野も「昔から目標の選手」という羽生に全敗だった。この1年で一気に成長して、ついに上回った。世界選手権から2戦連続300点超えの記録も残る。宇野は「世界選手権からベースが上がった気がする」。

 普段はただの19歳だ。おなかが減れば不機嫌になり、部屋で寝ることが大好き。遠征の合間に必死で大学の課題に取り組む。リンクに立てばガラリと変わる。

 「フィギュアスケートで生きていくと決断したのはとうの昔、小学校の時。スケートにすべてかけて、他を犠牲というと大げさですが、他に何もやらない代わりにスケートだけをやる。それがつらい時もありましたけど、今は楽しいことだけをやれる人生。スケートを頑張ってきて良かった。これからも頑張っていく」

 今季を終えて「シーズン初めには考えられない位置。でもトップではない自覚もある。来季も攻めたい」。平昌で主役になっても不思議はない。【益田一弘】

 ◆世界国別対抗戦 5度目開催となる国際スケート連盟(ISU)公認大会。世界上位6カ国が男女シングル各2人、ペア1組、アイスダンス1組の4種目8人で争う。各種目優勝は12点、2位は11点…と与えられ、合計点で優勝国を決める。SP、フリー(アイスダンスはショートダンス、フリーダンス)ごとに区切るため、総合得点での順位は得点としない。一方、各出場者(組)の総合得点はISU公認記録。今回は日本、カナダ、ロシア、米国、中国、フランスが参加。日本は第2回の12年に初優勝し第1、3、4回は3位。