サーフィン金候補五十嵐カノアが五輪会場で圧巻演技

五十嵐カノアは1本目に9・50の高得点をマーク(撮影・松本俊)

<サーフィン:一宮千葉オープン>◇25日◇千葉県一宮町・釣ケ崎海岸◇男子2回戦

 日本のサーフィン界期待の五十嵐カノア(19)が、20年東京五輪の会場で圧巻のライディングを見せた。米カリフォルニア出身ながら日本代表での五輪金メダルを目指す五十嵐は、2回戦で最高点を出して3回戦に進んだ。

 スピードに乗った切れ味鋭い五十嵐のライディングに、浜辺のファン数百人がどよめいた。10点満点で9・50の高得点。最初のトライで、2組前の大原が出した最高点の8・83を上回った。25分間で6本波に乗り、最後の7・67との合計で17・17。これも大原を超す最高をマークした。

 「サーフィンはショーだから」。五十嵐は胸を張って言った。1本目の高得点は狙っていた。しかも、直前に周囲に宣言した「9・5を出す」を実行。「印象を残したくて」。華麗な波乗りで、ジャッジと観客の心をわしづかみにした。

 プロ世界最高峰の「チャンピオンシップツアー(CT)」に参戦する東京五輪金メダル候補は、今年2月に「東京五輪は日本代表で」と宣言して一気に注目された。この日も、多くのメディアが集結。「東京が来てるっていう感じです」。爽やかな笑顔で言った。

 今大会はCTの下部大会。日本で開催される最高峰とはいえ、CTよりは2クラス下。それでも昨年12月に東京五輪会場に決まったことで、多くのCT選手ら強豪が参戦している。五十嵐は子どものころから日本に戻るたびに釣ケ崎海岸で波に乗ってきた。一昨年も大会に出場するなど五輪会場の釣ケ崎海岸は「準ホーム」だ。五輪会場に決まって以降初の国際大会に「いいタイミング。でも、まだ仕事は終わっていない。ファイナルに残って優勝したい。それを、多くの人に見てほしい」。プロサーファーらしく言った。【荻島弘一】

 ◆五十嵐(いがらし)カノア 1997年(平9)10月1日、日本人の両親のもと米カリフォルニア州で生まれる。3歳の時に両親の影響でサーフィンを始める。15年にWSL最高峰で、34人しか参加できないCT入りを史上最年少の18歳で決めた。昨年のCT最終戦パイプマスターズ準優勝。昨季は24位まで残留できるランク20位でCT残留。180センチ、75キロ。

 ◆一宮千葉オープン 一宮町釣ケ崎海岸で行われる国際大会。昨年からCTを頂点とするワールドサーフリーグ(WSL)クオリファイシリーズ(QS)の中で、最高グレードの「QS10000」に次ぐ「QS6000」大会として開催される。男子は144人、QS3000の女子は48人が出場。男子は4回戦まで4人または3人が1組で、5回戦、準々決勝、準決勝、決勝は2人1組の対戦形式で上位が勝ち上がる。QS各大会の上位進出者にはポイントが与えられ、年間上位10人が翌年CT入り。大原は現在ランク4位。