オービック古庄HC「よう頑張った」秋は全勝が目標

優勝したオービックの選手たちは野田会長を胴上げする(撮影・山崎安昭)

<アメリカンフットボール:第39回パールボウル:オービック29-27IBM>◇決勝◇19日◇東京ドーム

 オービックが29-27で、前回初優勝したIBMを破り、3年ぶり6度目の東日本社会人王座に就いた。

 MVPは、98ヤードのキックオフリターンTD、31ヤードのTDパスをキャッチしたオービックの水野太郎(24)が獲得した。

IBM(1塁側)

  6・7・7・7=27

 16・7・0・6=29

オービック(3塁側)

【第1クオーター】

 オービックのレシーブで試合開始。WR西村が自陣41ヤードまで大きくリターンし、最初の攻撃となった。すると、QBイカイカから西村へ32ヤードのパスが決まり、また、前進した。そして、RB望月のラン、イカイカから望月へのパスで、敵陣20ヤードまで迫ると、3分24秒にK星野の37ヤードFGが決まり、オービックが3点を先制した。

 代わってIBMの攻撃は自陣28ヤードから。QB政本からWR栗原へのパスで6ヤード前進した。続くパスは不成功も、RB高木へのパスでファーストダウンを獲得した。しかし、ここでオービックDB田中にパスをインターセプトされてしまう。

 田中は敵陣深く走り込み、エンドゾーンまで15ヤードに迫った。すると、オービックは3分48秒、QBイカイカからWR西村へいきなりのTDパスが決まり、6点を追加した。しかし、TFPではパスを狙うもIBMのLB高橋にカットされ、2点追加とはいかなかった。

 対するIBMはWR栗原が自陣42ヤードまでリターン。すると、RB鈴木の連続ランでファーストダウンを獲得した。そして、RB伊藤のラン、WR白根へのパスでファーストダウンを更新。さらに、続くQB政本から栗原へのパスでエンドゾーンまで7ヤードに迫った。そして、RB高木のランで残り2ヤードへ。しかし、政本が白根へ狙ったTDパスは不成功、さらに政本のランはロスしたが、7分48秒、第4ダウンギャンブルでWR栗原への3ヤードTDパスが決まった。プレー終了後に両チームにパーソナルファウルがあったが、相殺。その後のIBMのTFPキックは不成功に終わり、得点はオービックの9-6となった。

 ここでオービックにビッグプレーが飛び出す。8分4秒、WR水野が100ヤードに迫る98ヤードのキックオフリターンTD。すると、K星野のTFPキックも決まり、得点差を10点に広げた。

 ◆オービックWR水野 キックオフリターンTDはブロッカーのおかげ。完全にブロックが決まったところを、自分は走っただけ。感謝している。秋はもっとオフェンスが出るようにしたい。必ずTDが取れるオフェンスをやりたい。

 追い付きたいIBMは、再びWR栗原がリターンするも、自陣17ヤードまで。WR白根へのパスも2ヤードの前進に止まる。しかし、ここでオービックがオフサイドの反則。5ヤード進むと、続くRB高木のランでファーストダウンを獲得した。さらに政本からWR白根へのパス、RB伊藤のランでファーストダウンを更新した。そして、政本のキープラン、TEスタントンへのパスで敵陣41ヤードまで前進した。さらにWR鈴木へのパスで同27ヤードへ。さらに5ヤード進んだところで第1Qが終了した。

【第2クオーター】

 開始早々、IBMはエンドゾーンまで17ヤードまで迫る。しかし、そこから3度の攻撃でもファーストダウンは更新できない。そして、K小田倉の33ヤードFGトライはオービックDLジャクソンにブロックされてしまう。

 代わったオービックの攻撃は自陣48ヤードから。すると敵陣に入り、39ヤード地点でファーストダウンを獲得した。そして、WR前田へのパスで2ヤード進むと、イカイカが自身のランでファーストダウンを獲得した。敵陣28ヤードからの攻撃となるが、ホールディングの反則で10ヤード罰退。ところが、ここでIBMがパスインターフェアランスの反則。オービックは労せずして15ヤード前進した。しかし、K星野の33ヤードのFGトライはIBMにブロックされてしまう。

 IBMの攻撃は自陣39ヤードから。QB政本はパス攻撃を試みるが、最初は不成功、2投目はオービックDB田中に再びインターセプトされてしまう。

 オービックの攻撃は自陣48ヤードから。イカイカはRB地村へパス、さらに地村はWR木下へパスして木下が走るが、ファーストダウン獲得には至らない。

 そして、パントの際、オービックに反則があり、IBMの攻撃は自陣34ヤードから。QBがクラフトに代わるとRB高木のランでファーストダウンを獲得。さらにオービックのフェイスマスクの反則で敵陣33ヤードまで進んだ。そして、同7ヤードまで前進したが、IBMはホールディングの反則で10ヤード罰退。しかし、次の攻撃でファーストダウンを獲得した。ここでQBクラフトはスタントンへTDパスを狙うが不成功。しかし、続く攻撃で10分20秒、WR栗原へ6ヤードTDパスが決まる。TFPキックも決まって、IBMが3点差に迫った。

 前半残り1分33秒でオービックの攻撃に代わる。すると、自陣38ヤードからQBイカイカは相手のタックルを振り切ってパスに成功、ファーストダウンを獲得した。さらに、WR水野へのパスでファーストダウンを更新。勢いに乗るイカイカは11分38秒、水野へ31ヤードのTDパスを決めた。TFPキックも成功し、オービックが再び10点差とした。

 IBMはRB高木がキックオフリターン。しかし、オービックのタックルに遭い、19ヤードしか戻せない。ここで前半が終了した。

【第3クオーター】

 デーモン閣下と120人のXリーグチアリーダーによるハーフタイムショーの後、IBMのリターンで試合再開。WR栗原が自陣26ヤードまでボールを戻した。そして、RB高木のランなどでファーストダウンを獲得。さらにTEスタントンへのパスでファーストダウンを更新した。しかし、続く攻撃でIBMはQB政本がLB寺田、DLジャクソンにサックされてしまう。

 攻撃権がオービックに移り、敵陣46ヤードからのプレー。QBが菅原に代わり、RB望月などを走らせた後、WR木下へのパスでファーストダウンを獲得した。敵陣28ヤードから菅原はTDパスを狙うが、IBMのDB矢部にインターセプトされてしまう。

 自陣21ヤードからの攻撃となったIBMは、フォルススタートの反則で5ヤード罰退。しかし、QB政本からスタントンへのパスでファーストダウンを獲得した。そして、RB高木の中央突破ランでファーストダウンを更新。自陣43ヤードまで前進した。続くWR上広へのパスでさらにファーストダウンを獲得。敵陣29ヤード地点まで入り込んだ。続く高木ランでは前進1ヤードも、WR栗原へのパスでファーストダウンを更新した。エンドゾーンまでは9ヤードとなったところで、オービックが反則。ボールは5ヤード地点に。するとTEスタントンへのパスで3ヤード前進後、政本が自らエンドゾーン左端に走り込み、9分17秒、2ヤードTDランを決めた。TFPキックも決まって、IBMが再度3点差に迫った。

 オービックはDLビーティーJrが大きくリターン。敵陣42ヤードからの攻撃となった。ここでQB菅原はRB成瀬にボールを渡し、3ヤードゲイン。さらにTE高木への29ヤードロングパスでエンドゾーンまで10ヤードに攻め込んだが、ホールディングの反則で10ヤード罰退した。そして4ヤード進むが、続くパスはあわやインターセプトの不成功。さらなるパスも不成功に終わった。そして、33ヤードのFGトライもIBMのDLブルックスにカットされてしまう。

 自陣20ヤードから攻撃でIBMはWR栗原が大きくゲイン。自陣47ヤードにボールが置かれたところで、第3Qが終了した。

【第4クオーター】

 IBMはQB政本がWR上広へロングTDパスを試みるが、惜しくも不成功。その後、政本はオービックDLビーティーJrに3ヤードのロスタックルを食らってしまう。

 オービックはQBがイカイカに戻っての攻撃。WR前田への20ヤードパスでファーストダウンを獲得すると、RB望月がランでファーストダウンを更新した。続いて望月が走り、ファーストダウンを獲得。敵陣41ヤードまで前進した。さらに、望月が2度続けて走り、ファーストダウンを更新した。敵陣29ヤードからもオービックは徹底して望月を走らせる。さらにイカイカも走って、エンドゾーンまで18ヤードに迫った。すると、ここから新人RB李が続けて走り、同12ヤードへ。最後は5分44秒、イカイカからWR萩山へTDパスが決まった。しかし、TFPキックは右に外れ、オービックのリードは9点となった。

 ◆オービックRB望月 5プレー連続で走り、めっちゃ疲れた。でも、1プレー1プレーに集中できた。ランゲームを出せたのは春の収穫と言える。

 ◆オービック古庄ヘッドコーチ 望月は迷いが無くなり、自信を持って走れている。まだまだ走ってもらいたい。成瀬、李もいて、ランのユニットは秋には武器になる。

 ここでIBMはビッグプレーをやり返す。5分58秒、WR栗原が93ヤードのキックオフリターンTD。TFPキックも決まり、IBMが2点差に迫った。

 試合時間は残り6分2秒。IBMはオンサイドキックで攻撃権の維持を図るが、オービックに押さえられてしまう。自陣42ヤードからの攻撃となり、オービックはRB望月のランでファーストダウンを獲得した。すると、またもや望月が走る。しかし、IBMの新人DLリチャードに止められてしまう。ここでイカイカのパスは不成功となり、攻撃権はIBMに移った。

 残り3分50秒。IBMはQB政本はRB鈴木のラン、WR鈴木へショートパスでファーストダウンを獲得を図るも、ゲインは3ヤード。攻撃権を維持できない。

 残り2分19秒。敵陣39ヤードからの攻撃で、オービックはRB望月の連続ランでファーストダウンを獲得した。さらに、望月は連続ランで4ヤード前進。そして、QBイカイカのキープランで3ヤード進んだ。

 残り35秒。オービックは第4ダウンギャンブルでQBイカイカからWR池井へ7ヤードのパスが決まり、ファーストダウンを獲得。攻撃権を得ると時計を進め、激戦に終止符を打った。

 ◆オービック古庄ヘッドコーチ 2月から、選手たちはよう頑張った。シーズンインした時からテンションが変わっていない。今季はオフェンスライン・ユニットの向上が素晴らしく、また、レシーバー陣はイージー・ドロップがなくなった。秋はどこが相手でも全勝しようとやっている。今日は仕留め切れないディフェンスとかがあったので、しっかりアドバンテージが取れるように、鍛え続ける。

 ◆オービックRB望月 秋にまた、いきなりIBMと当たるのは面白い。プレーヤーとして楽しんでいきたい。秋は全勝でいく。オフェンスは35点以上取ると決めていたが、29点終わったので、秋にやり直す。

 ◆IBM山田ヘッドコーチ 勝てた試合だっただけに悔しい。選手は本当によくやってくれたが、点が足りないということは何かが足りないということ。春ということもあって政本を使い続けたが、彼にとって良い経験になったと思う。前半6-16という点差になったけど、そこで気持ちが折れず、選手それぞれがやることをやってくれた。やはりオービックは強いので、一歩ずつ近づいていけるようにしたい。秋には必ず借りを返したい。

 ◆IBM・QB政本 自分ではとても調子が良く、自分のプレーを最大限できたと思うが、簡単なミスも出てしまったことが悔やまれる。秋に向けて、同じ場所で同じ相手ということもあるので、その時は今と逆の状況になっているようにしたい。秋までにさらに力をつけて勝ちたい。