瀬戸大也が強い秘密、スタミナ切れない3食+12食

15年8月、世界選手権男子400メートル個人メドレーの金メダルを手にする瀬戸

<競泳世界選手権:先取りヒーロー>

 【ブダペスト23日=益田一弘】1日3食を疑え。競泳男子400メートル個人メドレーの瀬戸大也(23=ANA)が、同種目3連覇に向けて出陣する。タフな大会を戦い抜くために栄養面を「味の素ビクトリープロジェクト」が徹底サポート。レース当日の食事は1日3食の常識を覆して、計算された補食で支えられている。今大会のデータは今後に生かされる。今日24日で開幕まであと3年に迫った東京五輪に向けて、すでに戦いは始まっている。

 3食で56%、補食12回で44%。瀬戸は日本選手権第3日の4月15日、計15回の栄養補給で約4000キロカロリー(成人男性の2倍)を摂取した。摂取したエネルギーの内訳は3食と、ゼリー飲料、栄養補助食品「アミノバイタル」など補食が半々。レースの合間には常に何かを口にした。この日は200メートルのバタフライ2本と個人メドレー決勝の正念場。常識を覆す1日15回の栄養補給で乗り越えて「エネルギー切れを起こさなかった」と胸を張った。

 選手の栄養をサポートする「味の素」ビクトリープロジェクト。同社の栗原氏によれば、従来の大会中の食事サポートから踏み込んで現在は「勝つためのレース当日の食事」が焦点だ。

 1日計15回。ヒントはリオ五輪だった。第1日に400メートル個人メドレーで萩野が金メダル。当日深夜に弁当2個を食べて体重をキープしたが、一気に食べると体がエネルギーを吸収しきれない。一方で「米国はプールサイドで果物など、いつも何か食べていた」と栗原氏。日本では「行儀が悪い」となるが、複数レースをこなす上で理にかなっていた。食べる量とタイミングを考えた結果が1日3食の常識を疑うことだった。

 瀬戸は今月上旬、フランス合宿で腹痛を起こしたが、同時期に合宿入りした栗原氏のサポートを受け回復した。「3連覇は誰しもが狙える立場にはいない。誇りを持ってやる。今回もエネルギー摂取を大切にやっていきたい」と瀬戸。3連覇をかけた400メートル個人メドレーは最終日の30日だ。

 もちろん今大会のデータも蓄積される。「味の素」がサポートする体操、バドミントンなど他競技に還元される可能性もある。貴重なデータは、開幕まであと3年に迫った20年東京五輪で日本の活躍を支えるベースになる。

 ◆瀬戸の世界選手権 13年バルセロナ大会で初出場。400メートル個人メドレーでライバル萩野との対決を制して4分8秒69で日本人初優勝。15年カザニ大会では萩野がけがで欠場する中、4分8秒50で制した。世界選手権で日本人として初の連覇を達成して、翌年のリオ五輪代表に内定した。

 ◆味の素ビクトリープロジェクト 03年から日本オリンピック委員会と共同で、日本選手団の食と栄養面の支援プロジェクトを立ち上げた。10年からは都内の味の素ナショナルトレーニングセンター内に栄養管理食堂「勝ち飯食堂」を開き、バランスの良い食事を提供。体操、フィギュアスケート、バドミントンでも選手に個別指導を行っている。