羽生結弦、4回転ループ回避も「後半マックス」

オータムクラッシックで練習を公開する羽生(撮影・菅敏)

 フィギュアスケート男子ソチ五輪金メダリスト羽生結弦(22=ANA)が21日(日本時間22日)、今季初戦のオータム・クラシックが行われるモントリオールの会場で公式練習を行った。

 羽生が右膝の痛みにより、今大会では4回転ループを回避することが分かった。ブライアン・オーサーコーチは練習前に取材に応じ、約10日前に羽生が「『ちょっと痛い』と言ってきた」と明かし、「取るに足らないことかもしれないが、体が何かを訴えているということ。我々は、構成を一段階落とすという決断をしました」と話した。

 40分間の練習で、羽生は4回転トーループからの連続技や、ループジャンプの軌道などを丁寧に確認。フリープログラム「SEIMEI」の曲をかけた練習では、本来は前半2本、後半3本、計5本の4回転ジャンプの予定だが、前半のジャンプすべて3回転に抑えた構成で行った。また演技後半にあった3回転ルッツを冒頭に、後半1本だったトリプルアクセル(3回転半)を2本にする変更もあった。

 練習後に羽生は「やりたい気持ちは、すごくいろいろあるんですけど、そういうことを1つ1つ抑えながら、今やれることをやる」と説明。右膝に関しては「大事には至っていないんですけど、至らないように。ループは右足踏み切りですし、抑えめでやる」とした。

 右膝を守るため、全体的に見れば、SP、フリーともに基礎点は抑えた演技になるが、得点が1・1倍になる後半は、4回転3本、トリプルアクセル2本とこれまでで最も難しいものにチャレンジする。「後半はこの構成がマックスだと思っている。後半のジャンプすべてを決めることと、後半にいくにつれてどれだけ集中しきれるかどうか」が今回の課題だ。

 また、冒頭に3回転ルッツを持ってきたのも、意味がある。羽生は「自分にとっては鬼門だから」と理由を話したが、自身4種類目の4回転である4回転ルッツをここに入れるシミュレーションともとれる。オーサーコーチは、4回転ルッツについて「今季の計画にはある」と、導入する可能性があることをあらためて認めた。