羽生結弦が4回転ルッツ導入 五輪連覇へ新兵器投入

オータム・クラッシックで練習する羽生(撮影・菅敏)

 14年ソチ五輪金メダルの羽生結弦(22=ANA)が、新たに4回転ルッツを導入する方針であることが分かった。この日、ブライアン・オーサー・コーチが明かした。自身にとって4種類目の4回転で、プログラムに組み入れれば得点アップが見込める。新兵器の投入で平昌五輪での連覇をたぐり寄せる。今季初戦の今大会は、右膝痛のため4回転ループは回避する予定だ。

 五輪連覇に向け、羽生が自身4種類目となる4回転ルッツ導入を視野に入れた。今季初戦オータム・クラシックの公式練習前、オーサー・コーチは「今季の計画にある」と打ち明けた。

 ルッツは4回転の中でアクセルをのぞき、最も得点が高く、トップ選手で試合に組み込んでいるのは昨季4大陸選手権王者のネーサン・チェン(米国)世界選手権銅の金博洋(中国)ら数人。羽生は今季プログラムを発表した8月の段階で「練習していますけど、今は(導入を)考えていない」と話していたが、平昌五輪での金メダル獲得を見据え、完成度を高めていたようだ。

 約10日前に右膝を痛めたため、今大会では22日(日本時間23日)のSP、23日(同24日)のフリーでも負担のかかる4回転ループは回避する。ただ「今できることをやる」と無駄にはしない。この日の練習では、ルッツ導入への準備といえる新たなフリーのジャンプ構成を披露した。「SEIMEI」の曲に合わせ、最初に跳んだのは予定にあった4回転ループではなく、3回転ルッツ。冒頭にルッツを持ってきたのは「自分にとっては鬼門だから」と説明したが、4回転ルッツを入れるためのシミュレーションともとれる。

 さらに得点が1・1倍になる後半に絞ればSP、フリーともに自身過去最高の難度で挑む。「後半はこの構成がマックス。後半のジャンプすべてを決めることと、後半にいくにつれてどれだけ集中しきれるかどうか」。4回転ルッツと、今回の後半の構成をプログラムに組み入れれば、1カ月前に予定していたものより基礎点は5・85点も上がる。これでアクセルをのぞき、5種類の4回転ジャンプ全てを跳べるチェンにほぼ並ぶことが可能となる。

 4回転ルッツと、最高難度の後半。五輪連覇に向けて、初戦から布石を打つ。【高場泉穂】