立川新2連覇達成も油断せず「まだ上には2人いる」

野上廉太郎(下)を破り優勝した立川新(共同)

 男子73キロ級で立川新(19=東海大)が「受け」を武器に頂点に立った。

 この1年間、徹底したのが守りの強化。「投げられることはない」という自信で、決勝では筑波大1年の野上廉太郎(19)に反則勝ち。派手な技こそなかったが「投げられてポイントを失うことはなかった」と、2年連続優勝に胸を張った。

 「今のルールでは、投げられなければ負けることはない」と立川。3つで反則負けになるまで指導では差がつかないが、投げられると技ありを奪われるリスクが高い。東海大の上水研一朗監督(43)は「受けを徹底した。1、2階級上の選手の技に耐える練習もさせた」と説明。昨年と比較し「同じ優勝でも今年は危なげなかった」と評価した。

 「これ以上差をつけられたら、追いつくのがしんどい」と立川は話す。同級はリオデジャネイロ五輪金メダルの大野将平(25=旭化成)、今年の世界選手権を制した橋本壮市(26=パーク24)と2人の世界王者が君臨。「まだ上には2人いる」と目標不在の大会を振り返りながらも「誰のどんな攻めでも投げられない自信はある」と言い切った。

 66キロ級で五輪2大会連続銅メダルの海老沼匡(27=パーク24)も階級を上げて参戦、決勝で破った野上も伸び盛り。男子日本代表の井上康生監督(39)も「目が離せない」という激戦区だけに、立川は「勝っていかないと五輪はない」。3年後に向けて「受けだけでなく、今度はポイントをとる技を」とも話した。

 上水監督は「世界王者2人はメガトン級の矛を持っているけれど、立川は対抗できる盾を手に入れた」と話し「今度は矛の番」と期待した。「受け」から次のステップの「攻め」へ「矛盾しないように」と言って上水監督は笑った。強固な盾でレベルアップした立川が、12月のグランドスラム東京で頂点を目指す。