初V15歳岩渕麗楽が真央超え最年少五輪メダル挑む

女子ビッグエアで優勝した岩渕麗楽(共同)

 JKライダーが平昌(ピョンチャン)五輪のメダル候補に名乗りを上げた。岩渕麗楽(15=キララクエストク)が合計169・25点で初優勝。9月にスロープスタイルのW杯で4位に入った新星が、ビッグエアのW杯2度目の参戦ながら頂点に立った。44位だった国際スキー連盟の世界ランクも31位まで急上昇。平昌五輪の出場がかなえばメダルを狙える可能性を秘める高校1年生が、大舞台に大きく前進した。

 予選を1位通過した岩渕は、決勝1回目から2回転半を繰り出して85・00点をマーク。2回目は無難に2回転を決め、トップに立った。決勝は3回演技し、高得点の2回の合計で争う。3回目は大技の3回転にチャレンジ。勢い余って前のめりに両手をついたものの大きな減点を免れ、84・25点で優勝を決めた。「調子が悪く、公開練習でもうまくいかなかったが、すごくうれしい」と笑顔。レース後は海外メディアからも質問攻めにあった。

 これが3度目のW杯の挑戦。実績はないが、無限の可能性を秘める。5月には女子最高難度となる縦2回転、横3回転の技「バックサイドダブルコーク1080」に成功。「練習でしか決まったことないんですけど」と笑うが、公式戦で成功した女子は世界で1人、練習を含めてもトップ選手数人しかいない。無邪気な149センチだが、大物感たっぷりだ。

 過去の冬季五輪で日本女子最年少メダリストは19歳5カ月だったバンクーバー五輪時の浅田真央。スロープスタイルとビッグエアで2種目出場を目指す岩渕が平昌五輪でメダルを取れば、16歳2カ月。この勢いで階段を駆け上がる。

 ◆岩渕麗楽(いわぶち・れいら)2001年(平13)12月14日、岩手県一関市生まれ。現在は一関学院高に在学。スノーボードは4歳から始める。昨季の日本選手権スロープスタイルを制覇し、世界ジュニア選手権はスロープスタイル、ビッグエアで準優勝。好きな食べ物はシャインマスカット。趣味はお菓子作りで「プリンとかチーズケーキとかよく作ります」。家族は両親と妹。149センチ。

 ▽上位と日本人成績 (1)岩渕麗楽(キララクエストク)169・25点(2)ジュリア・マリノ(米国)160・25点(3)シリエ・ノレンダル(ノルウェー)156・75点(6)藤森由香(アルビレックス新潟)126・00点(28)広野あさみ(TJR)46・66点

 ◆ビッグエア 平昌五輪の新種目。高さ30~40メートル、20度以上の傾斜のある台から滑り降り、空中技の難易度、完成度、高さ、着地の美しさなどを競う。北米を中心に若者の人気が高く「冬季Xゲーム」など高額賞金のプロ大会を主戦場とする選手が多い。

 ◆ビッグエアとスロープスタイルの五輪への道 (1)国際スキー連盟(FIS)は平昌五輪の出場資格として、16年7月1日~18年1月21日までの期間において、W杯または世界選手権におけるFISの獲得ポイントで、ランキング上位30位以内、国別では最大4枠と定めている。(2)全日本スキー連盟はW杯や世界選手権など世界レベルの競技会において、8位以内1回、10位以内2回、12位以内3回のいずれかを満たすことが日本代表の派遣推薦基準としている。岩渕は現在、(1)はランキング31位とわずかに足りず、(2)はクリアしている。平昌五輪へは残りのW杯で成績を残し、FISポイントを加算する必要がある。