羽生結弦が重傷の叫び、五輪選出は確実もプラン再考

11月9日、NHK杯前日の練習でジャンプを失敗し、転倒する羽生

 フィギュアスケート男子の羽生結弦(23=ANA)が14日、右足関節外側靱帯(じんたい)損傷の影響で練習再開のめどが立っていないことを発表した。2日連続で日本スケート連盟を通じて談話を出し、右足首の腱(けん)と骨にも炎症があり回復が遅れていることを明かした。五輪代表選出は確実だが、最終選考会である全日本選手権(21日開幕、東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ)への出場は厳しい状況。ぶっつけ本番で平昌(ピョンチャン)五輪に臨むのか、それとも別の道を探るのか。五輪連覇へ向け、強化プランの再考を迫られている。

 五輪男子66年ぶりの連覇を目指す羽生が、日本連盟を通じて苦しい現状を談話で発表した。

 「当初の診断では3~4週間ほどで元に戻るということでしたが、通常の捻挫よりも治りが長引く靱帯も損傷していることがわかりました。また、腱と骨にも炎症があるため、治るスピードが早くはありません。今後、氷上に立ち左足を中心に、ストロークやクロスなど単純に滑ることだけから始め、少しずつ負荷を上げ、右足でのターンなどをできるようにしていきたいと思っています。いつから練習を再開出来るかは、まだ決まっていません」

 羽生は、11月9日のNHK杯公式練習の際に4回転ルッツで転倒し、負傷。右足関節外側靱帯損傷で、3~4週間で回復する見込みと診断されていた。だが、回復は遅れており、4週間が過ぎた今も氷上での練習はできていない。13日午後には、日本連盟が、氷上練習を再開していない旨の羽生のコメントを発表。だが、この時、羽生から差し替えのメールが届いており、1日遅れの発表となった。腱と骨の炎症があること、氷上練習の再開のめどが立っていないことが追加され、けがの深刻さがより分かる内容となっていた。

 13日に取材に応じた日本連盟の小林芳子フィギュア強化部長によれば、羽生は全日本選手権出場をあきらめていない。しかし、大会まで1週間を切り、ここから万全の状態に戻して出るのは、厳しい状況だ。仮に欠場しても世界ランキング1位などの実績で代表入りは確実視されている。懸念されるのは、五輪本番までの調整方法だ。

 最後の実戦は、10月のGPロシア杯。そこから約3カ月半間を空けて五輪に向かうとなれば、実戦不足の不安が残る。「1月末の4大陸選手権への出場」「国内外で演技の場を設ける」「14年ソチ五輪と同様、団体戦で滑ってから個人戦に臨む」など、さまざまなプランが考えられる。現段階では何も決まっていない。羽生の回復に合わせ、五輪連覇に向けた最善のプランが求められる。