小田卓朗2冠で初五輪当確「うれしさは2倍」

男子1500メートル コーナーを曲がる小田(撮影・山崎安昭)

 男子1500メートルでW杯代表の小田卓朗(25=水戸開発計画研究所)が、国内最高となる1分45秒91で制し、初の五輪代表切符を手にした。前半から積極的に飛ばすと最後まで踏ん張り16年に中村奨太(ロジネットジャパン)が出した記録を0秒25更新し、前日、同じく国内最高で勝った1000メートルと合わせ2冠。今季、W杯で日本記録を連発し、中距離のエースに成長した逸材が、最高峰の舞台で飛躍を目指す。

 両手を掲げ天を仰ぎ、喜びをかみしめた。小田は五輪のテスト大会だった昨年の世界距離別選手権5位に相当する記録でゴールに飛び込み、五輪切符をもぎ取った。前日の1000メートルも制したが、日本男子の代表枠は8。メダルが期待される団体追い抜きメンバーが優先されるため、代表枠は手にできなかった。崖っぷちに立たされたが、日本記録保持者の意地を見せた。「今日にかける思いは強かった。前日は素直に喜べなかったのでうれしさは2倍」と照れた。

 有言実行だった。最初の300メートルをメンバー最速の23秒62で入り勢いをつけるとどんどんギアを上げた。疲れが襲う700メートルから1100メートルのラップも27秒29の最速で、2位ウイリアムソン師円(日本電産サンキョー)に約1秒もの大差をつけた。「45秒台を出す準備はできている」と話した通りの好タイムに「自分の滑りをすれば勝てる自信があった」と満足げだった。

 挫折をきっかけに足もとを見直し飛躍した。今季のW杯初戦だったヘーレンフェイン大会(オランダ)1500メートルで12位に惨敗。「何かを変えなくては」と、スケート靴の刃を小平奈緒(相沢病院)ら世界のトップが使用するものに替えた。「氷の捉え方が良くなった。いい選択だった」。その後W杯で2日連続で日本記録を更新するなど自分のものにし、結果につなげた。

 14年ソチ五輪後に発足したナショナルチーム入りし、頭角を現した。ヨハン・デビット・コーチが課す「オランダ流トレ」で目指す「外国人のように崩れない体」を求め進化し続けてきた。「レースで崩れなくなったし、理想の選手像に近づいている」。急成長を遂げる25歳のエースが、世界の壁に挑む。【松末守司】