カーリング北海道銀行V、北京五輪へ復活スタート 

女子2連覇の北海道銀行メンバー(左から近江谷、船山、小野寺、小笠原、吉村)(撮影・中島洋尚)

 女子は北海道銀行が2年連続3度目の優勝を果たした。札幌国際大との決勝は、第6エンド4-4に追いつかれたが、第8、第9エンドに加点し、6-5で振り切った。予選から9戦全勝の「完全優勝」。昨年4月に長野五輪男子代表だった佐藤浩氏(40)がコーチに復帰し、技術、筋力、作戦を一から見直してきた。世界選手権(3月17日~、カナダ)、4年後の北京五輪へ、復活への歩みがスタートした。

 北海道銀行が2点リードで迎えた第10エンド。札幌国際大のラストショットが1点にとどまると、氷上の小笠原歩(39)の顔に、やっと安堵(あんど)が浮かんだ。「結果としては優勝したけれど、まだショットが不安定。日本選手権までに修正したい」。優勝したチームを戒めるように、リーダーが反省を口にした。

 昨年2月、日本選手権準決勝で中部電力に敗れ、平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)出場が消滅。2カ月後からチーム改造が始まった。11年の創設時のコーチだった佐藤氏が6季ぶりに復帰。小笠原頼みだった戦術やトレーニングメニュー、技術指導を佐藤氏に任せた。「試合に専念できるので、ずいぶん楽になりました」(小笠原)。競技が正式種目に初採用された長野五輪に選手として出場した経験者の加入が、進化への第1歩だった。

 「すべて基礎から見直した」と佐藤コーチは話す。近江谷杏菜(28)小野寺佳歩(26)吉村紗也香(25)の若手は、主にロープなどを使って体幹トレーニングを励行。ショットやスイーピングの安定感を身につけた。「体が大きくなりました」と小野寺。前年と比べ40キロ以上の背筋力増に成功し、コントロールに磨きがかかった。

 作戦面では、昨年9月からのカナダ・欧州遠征中に本来サードの吉村を、ラストを締めるスキップで起用するなど、複数ポジション制を導入した。今大会直前に吉村が右足小指を故障すると小野寺を初体験のサードで起用。臨機応変に対応しながら、しぶとく9戦無敗の結果を残した。

 ライバルLS北見が五輪直前のため不在の日本選手権(28日~、名寄市)に優勝すれば、3月の世界選手権代表となる。4年後の北京五輪に向けて、ぜひとも経験しておきたい舞台。「もちろん4年後も大事ですけど、まずは次の1勝」と小笠原。新生北海道銀行は、成果を確かめながら着実に前に進む。【中島洋尚】