張本智和、東京「金」へ所属先に世界の名将邱氏就任

張本智和(2018年1月21日撮影)

 14歳の怪物が「世界の名将」から英才教育を受ける。全日本選手権男子シングルスで史上最年少優勝した張本智和(14=エリートアカデミー)が所属する木下グループの新監督に、世界的な名将として知られる邱建新氏(52)が就任することが22日、分かった。木下グループは今秋開幕する新リーグ、Tリーグに参戦予定で、全日本選手権決勝で破った水谷隼(28)も所属する。邱氏のもと、水谷らと切磋琢磨(せっさたくま)し、夢の東京五輪2冠に向かう。

 卓球に対して、誰よりも貪欲な14歳に、最高のプレゼントが贈られる。張本の所属する木下グループが新リーグ、Tリーグの今秋開幕に備え、世界の名将といわれる邱氏を監督に招いた。水谷ら日本人を含め、世界のトップ選手を指導してきた邱氏。現役時代は卓球王国の中国で代表としてプレー。張本にとっては最高の教材になる。

 邱氏と日本選手との縁は深い。卓球の名門校だった青森山田高でコーチを務めたこともあり、同校出身の水谷とは当時から交流があった。リオ五輪の3年前の13年には、水谷からメダル獲得の切り札としてコーチを依頼された。就任すると、水谷の後ろに下がる癖を指摘。その後の飛躍につなげた。リオ五輪では日本代表コーチに加わり、日本の団体銀、水谷のシングルス銅メダル獲得に貢献した。

 張本は21日の全日本選手権で、10度目の優勝を狙った水谷を圧倒。最大の武器のバックハンドに、この1年でフォアハンドも急成長し、中学2年にしてフィジカル能力も高めた。弱点が見当たらないとの指摘もあるが、まだ14歳、伸びしろが無限にあることも事実。邱氏の指導で、卓球の引き出しはさらに増えそうだ。

 練習場には誰よりも早く来て、誰よりも遅く出る。元中国代表の母凌さんから「卓球のために生きている」と言われるほどの真摯(しんし)な姿勢。邱氏の教えも、スポンジのように吸収できる。目標は東京五輪の団体とシングルスの2冠。2つの金メダルの夢へ、邱氏からの英才教育は、最高のアシストになる。

 ◆邱建新(きゅう・けんしん)1965年12月26日生まれ、中国出身。南京体育大卒。80年代は中国代表として活躍。ドイツプロリーグのブンデスリーガに参戦。欧州チャンピオンズリーグなどのタイトルを獲得した。引退後もドイツに残り、ブンデスリーガの名門フリッケンハウゼンの監督を務めた。リオ五輪前には水谷隼の専属コーチを務め、男子シングルス銅、団体銀メダルに貢献した。

 ◆Tリーグ 今年10月に開幕するプロアマ混在のリーグ。世界トップ級を集めた1部リーグの名称は「Tプレミアリーグ」で事実上のプロが参戦する。木下グループは昨年9月に参戦を表明。現在チームを公募中で今月下旬にも男女各4チームが発表される。試合は団体戦方式。2部のT1、3部のT2は20年以降の発足を目指す。

 ◆張本の今後予定 2月22日から団体のW杯(英・ロンドン)に出場。世界ランク6位の丹羽、同19位大島、同28位上田と団体戦でメダルを狙う。3月からはカタール・オープンなどワールドツアーを転戦予定。国内大会では4月6日開幕のアジア杯(横浜文化体育館)に登場。同29日からは世界選手権団体戦(スウェーデン・ハルムスタッド)に出場。水谷らとメダルを懸けて戦う。