レスリング女子でオリンピック(五輪)4連覇の伊調馨(33=ALSOK)を巡るパワーハラスメント問題で、日本協会は6日、都内で緊急理事会を開き、栄和人強化本部長(57)の辞表を受理した。協会が設置した第三者委員会の聞き取り調査の結果、栄氏から伊調と、伊調のコーチを務めていた田南部力氏(42)に対する4件のパワハラを認定。福田富昭会長(76)は栄氏のパワハラを認めて謝罪した。
福田会長はこわばった表情で絞り出すように言葉を並べた。「調査結果から明らかなように、伊調選手らに対する栄の言動がパワハラに当たるということで、伊調選手や関係者には深くおわび申し上げます」。会長と並んで馳浩、松浪健四郎副会長も深々と頭を下げた。
この日夕方から開かれた緊急理事会の冒頭、福田会長に3人の弁護士による第三者委員会がまとめたA4判37ページに及ぶ調査報告書が手渡された。10年前までさかのぼり、伊調や田南部氏、協会関係者ら19人に事情聴取が行われた結果、4件のパワハラが認定された。協会側はその内容を全面的に受け入れ、栄氏から提出された強化本部長職の辞表を受理したことも発表。辞表は栄氏が監督を務める至学館大の谷岡郁子学長(協会副会長)が持参。その中に「自分の不徳の致すところです」とのコメントがあったという。「もし辞表が提出されなかったら」という質問に福田会長は「解任、ということになったでしょう」と明言。第三者委員会の調査報告を最重要視したことを強調した。
問題が表面化した当初、栄氏本人、福田会長はじめ協会関係者もパワハラの事実を否定していた。福田会長は「私もハッとパワハラはないと言ってしまったが…。栄に力が集中し過ぎた反省はあるが、実質的に結果も出ていたので」と釈明。報告書ではパワハラ行為の抑止に向けた取り組みの必要性、代表選考の公正化などを提言として挙げた。「メダルの数によって国民からの称賛を得るだけではなく、レスリング競技そのものへの感動と感激を伝えることによって、国民からの信頼を勝ち得ることを切に望む」と結ばれ、メダル至上主義にも警鐘を鳴らした。
今後は、内閣府の調査結果を待って、福田会長自らの任命責任や、栄氏の協会常務理事職について、対応するという。