三遠大口が浜松学院大監督就任「楽しむこと大事に」

指導者としての思いを語る大口監督

 今月創部した浜松学院大バスケットボール部が14日、初陣を切る。名古屋市体育館で行われる東海学生バスケットボール大会で名古屋市立大(愛知)と対戦する。初代監督にはBリーグ1部三遠ネオフェニックスのSG大口真洋(42)が就任。今季限りで現役を引退する大口に、指導者としての思いを聞いた。

 浜松学院大は、創部2週間で初の公式戦に臨む。初戦の相手は、昨季東海リーグ3部B組1位の名古屋市立大だ

 「全体で練習して10日ぐらいですが、だいぶ動けるようになりました。選手たちは、今までこんなに頭を使ったことはないでしょう。東海3部がどれくらいのレベルなのかは分からないですが、相手には4年もいますが、こちらは1年だけなので難しさはあると思います。でも、貴重な経験になると思います。勝てるとなお良いですね」

 練習の雰囲気は明るく、笑顔が絶えない。

 「ビシッとやりたいんですけど、私が笑ってしまうのでダメですね(笑い)。でも、しんどい練習こそ楽しんでやりたいんです。そうしないと本当にしんどくなってしまうので、楽しむことを大事にしたいです」

 大口は5月で終了の今季で現役を引退するが、今月は、選手と監督の「二刀流」だ。午前中は三遠の練習に参加し、午後は浜松学院大の監督。三遠での試合出場は、昨年12月16日の京都戦から遠ざかり、気持ちは指導者にシフトしている。そこで頭に浮かぶのが、自身に影響を与えた指導者たち。前身bjリーグ浜松で08-09年、09-10年の2連覇を達成した中村和雄氏(77)、14-15年にチームを3度目優勝に導いた東野智弥(47=日本バスケットボール協会技術委員会委員長)の2人だ。

 「和さんは、自分の中にある経験や感覚を選手たちに繰り返してやらせて、身につけさせる。東野さんは先に理由をつけて練習をやらせる。私は両方を経験できて良かった。和さんのやっていたことが、東野さんの説明であらためて理解できました。やっていることが同じでも、いろんなアプローチの仕方があることを知ることができました」

 ただ、プロと大学生ではレベルが違う。

 「プロの技術はいろいろありますが、教えすぎてもいけないと思いますし、自分で考えられるようにもっていきたいです。自分自身も能力に頼ってやってきて、年齢が高くなり、運動能力が落ちてきた時に初めて考えたんですが、何で今までそうしなかったのかなと思うんですよ。だから、それを大学生のうちにできれば、伸びしろはすごく大きくなると思います」

 選手たちには、コートの外でも、大事にしてほしいことがある。

 「和さんが来た時、チームに言ったことが『あいさつしろ、靴を並べろ、ゴミを拾え』でした。普段の生活から小さいことをやっておけばバスケにつながると教わりました。『バスケは習慣のスポーツ』といわれ、普段の生活が試合に出てきます。大学生なので、遊びもしたいと思いますが、オンオフの切り替えをしっかりさせたいです」

 大口自身、大学時代に当時関西2部だった天理大を全日本大学選手権(インカレ)出場まで導いた。

 「下から行くのは、自分の性に合っています。選手をやめることに悔いがないと言えばウソになる。ただ監督をやったからには、『選手を続ければ良かったな』と思わないようにやりたいです。最短3年でインカレに行けるので、1期生が卒業するまでに1度は行きたいです」

 現役生活は20年間で終了。大口の新たな戦いが、幕を開ける。【大野祥一】

 ◆大口真洋(おおぐち・まさひろ)1976年(昭51)1月6日、大阪府生まれ。初芝(現初芝立命館)-天理大を経て、98年にオーエスジーに入社。前身のbj浜松では3度のリーグ制覇を経験。09-10年にプレーオフMVP。14-15年に最高3Pシュート成功率。今季は7試合に出場。172センチ、73キロ。