「キング」が負けを悟った。男子予選で内村航平(29=リンガーハット)が、あん馬で落下し、合計85・098点で5位発進となった。予選と合計で争う29日の決勝は首位の白井健三(21=日体大)を1・001点差で追う展開となり、11連覇は「かなり厳しい」と話した。
3種目目のあん馬にまさかの落とし穴が待っていた。内村の試技順は1番。順番が事前に発表されていたため、直前の練習から3分ですぐに試技に入れるよう何度も練習し、この日を迎えていた。なのに-。途中に入れているE難度の得意技「ウ・グォニアン」で体勢を崩し、落下した。
「ショックだった」。08年北京オリンピック(五輪)の直前に取り入れ、以来試合では1度も失敗したことのない技。「力が入ってしまった」と原因を分析したが、それでも信じ難いミス。いったん気持ちは切れかけたが、今年の世界選手権代表がかかる大事な一戦のため「(自分を)信じてやれた」と気持ちを切り替え、残り3種目で14点台をマーク。5位にとどまった。
首位の白井との差は1・001点。逆転優勝するには約87・5点が必要で「昨年の世界王者さえ取れていない」。「(16年リオ五輪で)オレグに勝った時以上のミラクルを起こさないといけない」と厳しい状況を説明した。「巻き返すとかではなく、自分のことでいっぱいいっぱい」。29日の決勝では技の難度を高める予定はなく、この日と同じ構成でミスない演技を目指す。攻めて逆転を狙うのではなく、「2位以内で終わりたい」と語った。
昨年の世界選手権では左足負傷での棄権で連覇が途切れたが、負けてはいない。個人総合で最後に敗れたのは、植松鉱治に次ぐ2位となった08年9月の全日本学生選手権。そこから10年続く「キング」の連勝記録が破られる日が訪れそうだ。【高場泉穂】