大竹秀之2世も大きく…壱青パナで社会人バレー初冠

優勝してスタンドのファンと喜び合う大竹壱青(左)らパナソニックの選手たち(撮影・松本航)

 パナソニックに新加入した日本代表オポジット(スーパーエース)大竹壱青(22)が社会人初タイトルを獲得し、6年ぶり3度目となるプレミアリーグ、全日本選手権との3冠に貢献した。

 父は92年バルセロナ五輪日本代表の秀之氏(50)、姉は日本代表経験を持つ里歩(24=デンソー)。そんなバレーボール一家で育った身長201センチの大物ルーキーが、パナソニックのコートでフル回転した。「初めての公式戦で3冠を取れて光栄です。先輩方に助けてもらいました」。謙虚な言葉とは裏腹に、決勝ではパナソニックで2番目となる19得点。大会のベスト6に選出された。

 見せ場は勝利に王手をかけた第4セット。21-19とリードした場面で、身長203センチを誇るブルガリア出身のカジースキに立ち向かった。相手の得点源に対して1人でブロックを決めて、3点リード。スパイクだけにとどまらない、高い潜在能力を見せつけた。

 3月に卒業した中大では日本代表のエース石川祐希(22)とチームメート。海外で活躍する石川に負けじと、17年秋からドイツ1部リーグのフランクフルト(ユナイテッド・バレーズ・ラインマイン)でプレーした。武者修行で身についたのは「余裕」。プレーの選択肢が幅広くなり、この日ともにプレーしたパナソニックの日本代表セッター深津英臣(27)も「ドイツから帰ってきて、余裕が出てきた。それがプレーにも顔にも出ている」と評するほどだ。

 新天地にパナソニックを選んだのも、向上心の表れだ。数多くの選択肢の中で父からの助言を参考に、チームを支えてきた先輩オポジットに目を向けた。

 大竹 日の丸を背負ってきているオポジットはパナソニックが多い。(08年北京五輪代表の)山本隆弘さんもそうですし、清水邦広さんもそう。清水さんは今ケガをされていますが、一緒にやれる経験が大事だと考えました。何かを盗んだり、感じたりすることがあると思う。そこの部分でパナソニックに決めました。

 最高の形でシーズンを締めくくったチームと入れ替わるように、今度は日本代表としての活動が本格化する。9月にはイタリアとブルガリアで世界選手権も控え「1シーズン通して活躍できるように頑張ります」と力強く言い切る。20年東京五輪へとつながる道を、息つく間もなく走り抜ける。【松本航】