関学大怒り心頭、日大内田監督に直接謝罪を要求

日大選手の反則行為についての見解および抗議文提出についての会見を行う関学大アメフト部の鳥内監督(撮影・清水貴仁)

 アメリカンフットボールの定期戦(6日、都内)で日大選手から悪質な反則行為を受けた関学大が17日、兵庫・西宮市の同大学で2度目の記者会見を行った。15日夜に日大から受け取った抗議文の回答書を公開したが、具体的な経緯や見解は盛り込まれておらず、鳥内秀晃監督(59)は直接の謝罪や説明がない日大の内田正人監督(62)に怒り心頭。日大は24日までに追加回答を行う意思を示しており、関学大は刑事告訴や来年度以降の定期戦拒否など対応について保留とした。

 目の前に並べられた22本のテレビマイクへ伝わる、鳥内監督の怒りは容赦なかった。一番の矛先はいまだに直接の謝罪がなく、姿を見せない日大の内田監督。無表情、低いトーンで「現場で責任者は監督です。その中であのプレーが起きたのは監督の責任。指導者は学生たちを守るのが基本で、ちょっと受け入れられない」と厳しく非難した。

 6日の定期戦では関学大の2年生QBがパスを投じた約2秒後、日大DLに意図的に見えるタックルを背後から受けた。教え子は全治3週間のケガを負い、10日付で日大に抗議文を送付。15日夜に回答を受け取った。日大DLは周囲に「『(反則を)やるなら(試合に)出してやる』と監督から言われた」と話しているが、回答書には「意図的な乱暴行為を行うこと等を選手へ教えることは全くございません」とあった。

 当該選手は3度も反則行為を続けて退場。仮に回答書通りであれば、1度目の悪質タックル即交代や、反則後に指導者からの注意が確認できなかったことに疑問が残る。さらに当の内田監督が“雲隠れ”状態で、不信感は増す一方。鳥内監督は86年から6年間務めたコーチ時代から知る内田監督について「練習は見たことがないが、うわさで練習時間も長くやっておられると。選手には厳しかったんじゃないか。(コーチが)意見を言えない可能性もある」とし、部の体質を独自の目で分析した。

 内田監督が定期戦後に反則行為を容認するような発言をした点は、回答書内で「選手に『厳しさ』を求めていることから発したものでした」とされた。日大側は真意が伝わらなかったとして、撤回する意向を示しているが、あきれる鳥内監督は「あんな事件を起こして、すぐにでも謝罪すべきだった。後手後手に回っておかしくなっている」と社会問題に発展した一因を相手指揮官に求めた。小野宏ディレクターも「決定的に信頼関係が失われている。完全に崩壊している状態」と、東のライバルとの現在の関係を正直に告げた。

 関学大はこの日、説明の具体化や、日大の加藤直人部長、内田監督の直接謝罪を求める文書を相手側へ発送。追加回答は24日までとされており、鳥内監督は「そこに何があったのか、という真相究明」を強く訴えた。疑問解消なくして、怒りは消えない。【松本航】