新潟庄司監督 就任2年目、試行錯誤の1年振り返る

4月29日の三遠戦、選手に指示を出す庄司監督(左)

 Bリーグはレギュラーシーズンが終了し、上位8チームによるチャンピオンシップ(CS)が開幕。26日の決勝まで熱戦が続く。新潟アルビレックスBBは今季、中地区3位で成績は28勝32敗。昨季より1つ順位を上げ、勝ち星も1つ増やした。一方、2年続けてCS進出を逃した。指揮官としての2年目を終えた庄司和広監督(44)は、成長を見せると同時に、目標にあと1歩及ばなかった17-18年シーズンを振り返った。

 レギュラーシーズン最終節の北海道戦(6、7日)から10日ほどすぎた。オフシーズンに入り、クラブ行事が続く中、庄司監督は時間をみつけてはA4サイズのコピー用紙の束に目を通している。そこには17-18年の選手、チームのデータが書き込まれている。

 庄司 ひと言でいうと、苦しい、つらいシーズンでしたね。どの試合も難しい試合でした。その中で昨季よりも順位、成績で上回ったけど、前半戦を乗り切れなかったことがCSを逃がした要因になった。年内が10勝18敗と大きく負け越してしまいましたから。後半戦、18勝14敗で行けたのは進歩。それだけに前半戦が痛かった。

 28勝の中に、昨季は4つしかなかった旧NBL勢から挙げた勝ち星が、10個ある。A東京に連勝した第2節など、昨季はね返され続けた壁に、確実に穴をあけることができた。

 庄司 選手の頑張りはもちろん、勇人さん(青木アソシエイトコーチ)が加入してくれたことや、阿部(理一)さん(コンディショニングコーチ)がケガの防止、対処に万全にしてくれたことなど、スタッフの力も大きいです。多くの面でチームの規模が違う相手に勝ったことは、十分に戦えるという証明になったと思います。ただ、逆に昨季勝っていた相手に星を落としてしまった試合もある。それは相手に対策を立てられたということです。

 昨年10月の開幕時、最年長のPG五十嵐圭(37)を筆頭に30歳代が4人の編成でスタート。11月に新人のSG今村佳太(22)PG森井健太(22)が加入。ベテランと新人の融合が1つのテーマだった。

 庄司 ベテランには経験という良さがあります。まず大崩れはしない。一方、大きなプラスの波はつくれない。ベテランだけでは難しい局面のときに、今村と森井が入ってきてくれた。波ができたことは確かです。それがチームの刺激にもなり、競争にもなりました。

 試行錯誤しながら進んだ今季を象徴する好試合に、第6節川崎戦の第2戦(72-70で勝利)、屈辱的な試合に第14節富山戦(76-86、80-96で連敗)を挙げた。

 庄司 川崎戦、ハーフタイムで29-40だった。そのときにこう言ったんです。「まだ11点差だよ」って。前日(78-93)よりも形ができていたし、何より選手の目が死んでいなかった。結局、そこから逆転して。川崎相手にビハインドから巻き返せたというのは、戦えるということ。ただ、富山戦はまったくダメ。戦おうという気持ちが見られなかった。

 ベストとワーストの差。来季の課題がそこに埋まっている。Cダバンテ・ガードナー(26)が得点王を獲得。五十嵐はアシストランキングで3位に入った。今村はシーズン後、日本代表候補に選出された。個々の能力は高い。「あとはそのパズルをどう組み合わせるか。それが私自身、まだできていなかった」と言うが、「伸びしろはあるチーム」と潜在能力は示せた。「監督という仕事のやりがいを感じた」シーズンになったと振り返った。【斎藤慎一郎】

 ◆庄司和広(しょうじ・かずひろ)1974年(昭49)4月26日生まれ、埼玉県出身。北陸高から拓大に進み、卒業後は住友金属、トヨタ自動車、大和証券でプレー。96年、01年に日本代表入りした。00年、新潟入りし01年から主将。12-13年に秋田で現役を引退し、13-14、14-15年は新潟のアシスタントコーチを務めた。15年10月から16年5月まで高松のアシスタントコーチ。16年6月に新潟の監督に就任。