内田監督、関学大に謝罪も「かんさい」何度も間違え

羽田空港に到着後、報道陣に囲まれ、頭を下げる日大・内田監督(撮影・野上伸悟)

 アメリカンフットボールの関学大との定期戦で日大選手が悪質な反則行為を繰り返した問題で、日大の内田正人監督(62)が19日、辞任を表明した。兵庫・西宮市内で悪質タックルで負傷した関学大の2年生QBらに直接謝罪。問題発生後14日目にして初めて公の場に姿を現し、「全て私の責任」と話した。その一方で大学内の常務理事などの役職辞任の可能性には言及を避け、反則行為を選手に指示したか否かは24日をめどに関学大への再回答で説明するという。関学大は24日以降に3度目の会見を開き、この日の内容や今後の対応を説明する。

 午後3時半過ぎ。内田監督が大阪・伊丹空港で初めて取材に応じた。周囲も騒然となる中、同監督は「日大の監督を辞任します」と、通算15季目での辞任を表明した。

 会見前の午後2時過ぎには西宮市内の施設で関学大の鳥内監督ら首脳とようやく面会。加害プレーの日大DLは参加しなかったが、負傷した関学大の2年生QBやその父親に頭を下げた。17日に関学大が直接謝罪を要求したからとも思える今回の行動だったが、内田監督は謝罪を受け入れられたかについては「全て関学さんの判断に委ねようと思っています」。謝罪が大幅に遅れた理由については「直接謝罪するのがまず大事だということで、今まで時間的にご迷惑おかけいたしました」と話した。

 日大運動部のスクールカラーであるピンクのネクタイを締めて謝罪の会見に臨んだ内田監督だが、被害者側の関学大の正式名称「関西(かんせい)学院」を何度も「かんさい学院」と言い間違えた。甲子園ボウルを通じて宿命のライバルとなった関係とは思えないミスだった。

 日大DLが内田監督から「反則をやるなら試合に出してやる」と指示されたことを周囲に証言。日大は関学大による抗議文への1回目の回答で否定し、この日の内田監督も「文書(再回答書)でお答えします」と明言を避けた。反則の強制がなかったとすれば、同一選手が3度も繰り返した悪質プレー後に、指導者が注意をするそぶりがない点を関学大側は指摘している。その疑問については「私の判断の悪さ。私はその時は注意しておりません。私の責任です」と潔く、問題の焦点は反則後の自身の対応に終始する考えをにおわせた。

 「全て私の責任」「若い学生の将来のために私が辞任して、新しい日大を作っていかなければならない」と響きのいい言葉は並んだ。「誠意がない」と関学大に突き返された最初の回答書を、24日までに再回答する必要がある。監督が辞任しても日大の説明責任は免れない。【松本航】