アメフト悪質な反則タックル問題を巡る動き/詳細

日大アメフト悪質反則問題の会見で記者から質問を受ける宮川選手(撮影・河野匠)

 6日のアメリカンフットボール定期戦で、関学大QBをラフプレーで負傷させた日大3年のDL宮川泰介選手(20)が22日に都内で会見。内田正人前監督(62)と井上奨コーチ(30)の指示で反則したなど経緯を説明した。

<アメフト悪質な反則タックル問題を巡る動き>(▼は宮川選手による証言。▽は宮川選手側が明かした経緯)

 ◆5月3日 ▼宮川選手はプレーが悪いとして、コーチから練習を外される。監督、コーチから「やる気が足りない。闘志が足りない」と指摘を受けており、監督から「宮川なんかはやる気があるのかないのか分からない。そういうやつは試合に出さない。辞めていい」。井上コーチからは「お前が変わらない限り、練習にも試合にも出さない」と言われる

 ◆4日 ▼練習前に監督から「日本代表に行っちゃだめだよ」と6月の大学世界選手権の日本代表を辞退するよう求められる。理由を確認することはできず、「分かりました」と返答。ディフェンス練習時にコーチから消極的な姿勢を指摘され、グラウンドを10周走らされる

 ◆5日 ▼練習後、井上コーチから「監督にお前をどうしたら試合に出せるか聞いたら、『相手QBを1プレー目でつぶせば出してやる』と言われた。『QBをつぶしに行くんで僕を使ってください』と言いにいけ」と言われる。同コーチからは「相手QBと知り合いなのか」「関学との定期戦がなくなってもいいだろう」「相手QBがけがをして秋の試合に出られなかったらこっちが得」「これは本当にやらなくてはいけないぞ」と念を押され、丸刈りにするよう、指示される

 ◆6日、日大と関学大の定期戦 ▼試合のメンバー表に名前がなかったので、井上コーチに確認。「今(監督のところに)行ってこい」と言われたため、監督に「相手のQBをつぶしに行くんで使ってください」と伝えると、監督は「やらなきゃ意味ないよ」。井上コーチに「QBに突っ込みますよ」と確認すると、「思いきり行ってこい」と言われる。試合前の整列時、同コーチは「できませんでしたでは、すまされないぞ。分かっているな」

 ▼試合後のハドルで、監督は「こいつのは自分がやらせた。こいつが成長してくれるならそれでいい。相手のことを考える必要はない。周りに聞かれたら、俺がやらせたんだと言え」。井上コーチからは、退場後に泣いていたことを叱られ、「お前のそういうところが足りない。相手に悪いと思ったんやろ」と責められる

 ◆8日 ▼井上コーチから午後5時にグラウンドに呼び出され、監督、コーチ、チームメートと会う。監督に「もうフットボールをやりたくない」と伝えると、「罰退になっているから、お前の処罰は終わっている」「世間は監督をたたきたいだけで、お前じゃない。気にするな」と言われる。井上、鈴木コーチからは「お前が辞める必要はない。向こうとの試合がなくなろうと別にいいだろう」と退部を引き留められる

 ◆9日 ▼森ヘッドコーチに呼び出され「辞めるべきではない。フットボールで返していくしかない。監督が厳しく言ったことをそのままお前に伝えたコーチに責任がある」と言われる

 ◆10日 関東学生連盟が当該選手の対外試合出場を禁止、日大の内田監督を厳重注意処分

 同 ▽関学大から日大に申し入れ文書が出される

 ◆11日 ▼両親とともに監督を訪ね、関学選手、両親に直接謝罪をしたい旨を伝えるが、監督に「今はやめてほしい」と止められる。父が「監督、コーチから、選手に対し、相手QBにけがを負わせろと指示を出し、選手はそれに従っただけ」だとする旨を公表するよう求めたが、「公表できない」と拒絶される。同日夜、井上コーチから、父に「謝りに行く。息子さんを行かせてください」と連絡が入る

 ◆12日 関学大の鳥内監督らが記者会見し、抗議文送付を明かす

 同 ▽宮川選手とコーチが関学に謝罪に行くが、申し入れ文書への回答がないとして謝罪を断られる

 ◆14日 日大と法大、東大、立大のオープン戦が中止に

 同 ▽学生連盟の規律委員会による宮川選手の聞き取りが行われる

 同 スポーツ庁の鈴木長官が「普通ならレッドカード」と述べる

 ◆15日 日大が関学大に、監督による意図的な反則行為の指示を否定する回答を提出

 同 日本アメリカンフットボール協会がスポーツ庁に説明

 同 ▽宮川選手の父が、日大側の回答書について、監督、コーチの指示があったことが否定されているとし、代理人弁護士に初めて相談

 ◆16日 ▽代理人弁護士が宮川選手、両親への聞き取りを行う。父にOBから呼び出しがあったが、代理人が断る。代理人のもとに、日大総務部から17日に事情聴取に来てほしいと連絡が入る

 ◆17日 関学大が会見し、日大の回答を疑問視し、真相究明と直接の謝罪を求める

 同 明大、成蹊大とのオープン戦が中止に

 同 日大を除く関東学生1部リーグの15チームが監督会で第三者委員会による調査を要求

 同 ▽日大からの聞き取りが行われる。代理人は、部による事情聴取でないことを確認。父と代理人は、個人として被害選手とその家族への謝罪をする意向であると大学に伝える

 ◆18日 林文部科学相が「看過できない非常に危険な行為」と指摘し、対応する考え示す

 同 桜美林大とのオープン戦が中止に

 同 ▽宮川選手と両親が、負傷選手とその両親、小野ディレクターに約1時間面会し、謝罪

 ◆19日 日大の内田監督が関学大側に直接謝罪し、辞任を表明

 ◆20日 鈴木長官が「辞意よりも、原因を知りたい」と述べる

 同 ▽規律委員会のヒアリングを受ける

 ◆21日 負傷選手の父が記者会見し、大阪府警池田署に被害届を提出したことを明らかに

 同 日大が第三者委員会を設置して調査すると発表

 同 ▽宮川選手側が大学の対応が遅いこと、部としての聞き取りの予定がないことから記者会見を決意

 ◆22日 午後に記者会見