関学大「あとは捜査機関」日大回答に不信感あらわ

日大の再回答を受け会見を開いた関西学院大学の鳥内監督(右)と小野ディレクター(撮影・上田博志)

 アメリカンフットボールの日大選手による悪質な反則で、学生が負傷した関学大は26日、兵庫県西宮市の同大学で記者会見を開き、51回続いた日大との伝統の定期戦を中止すると発表した。日大側は2度目の回答書でも選手への反則行為の指示を認めず、関学大の鳥内秀晃監督(59)は「信頼関係が取り戻せない」と憤りをあらわにした。今後は第三者委員会に捜査を委ね、処分の決定を待つ。

 日大からの再回答書に、関学大が期待した「真実」は記されていなかった。51回を数えた伝統の定期戦は、中止を余儀なくされた。45社、133人の報道陣を前に、鳥内監督は「事実、本当の責任を、曖昧にしている感じがする」と言い、日大の内田前監督、井上奨前コーチを強く非難した。

 今回の悪質な反則問題では、15日に日大が最初の回答書を提出。関学大は満足のいく内容でなかったことから、24日をめどに再回答を要求した。

 その間、22日には宮川選手が会見を行い、「反則行為は監督の指示」と主張した。だが、翌23日には内田前監督と井上前コーチが会見し、「選手との間に理解の乖離(かいり)があった」とし、あらためて指示を否定していた。

 これに対し小野ディレクターは「(宮川選手への)ヒアリングは必須だと思うが行われていない」と日大側の矛盾を指摘。鳥内監督は、会見での井上前コーチの言動に触れ「(内田前)監督の存在を気にして話している印象。(宮川選手のように)勇気を持って真実を語って欲しい」と苦言を呈した。

 関学大はこれまで、日大側の対応次第では、定期戦中止もやむなし、との構えだった。今回の再回答を受けても、ほぼ前進はなく、鳥内監督は「あまり前のとは変わりがない印象」として、日大との定期戦中止を決めた。

 関学大は、今後の対応について、日大との文書のやりとりも打ち切る方針で「日大の見解には強い疑念を抱かざるを得ず、これ以上の問答は平行線をたどる可能性が高い」とした。

 日大による第三者委員会、関東学生連盟の規律委員会による真相究明を強く呼び掛け、処分を待つ。小野ディレクターは「最終的には捜査機関の捜査によって、真相が究明されることを強く希望する」と求めた。【奥田隼人】

<日大アメフト部の再回答書のポイント>

 一、内田監督(当時)はボールの動きに着目していたため、反対方向で行われた反則については認識していない。

 一、「つぶせ」はアメフットでは日常的、慣例的表現。反則を容認したり、犯罪としての傷害を指示する意図の発言ではない。監督が直接反則行為を促す発言をした事実は確認されていない。

 一、宮川選手は「つぶせ」を「けがをさせろ」と受け取ったようだ。聞き取りはできていない。

 一、監督、コーチらと選手の間の意識の差が問題の本質と認識。第三者委員会を設け、原因究明、再発防止につなげる。