エリマコ全仏準Vも東京五輪メダル「組めば狙える」

<テニス:全仏オープン>◇10日◇パリ・ローランギャロス◇女子ダブルス決勝

 “エリマコ”こと穂積絵莉、二宮真琴(ともに24=橋本総業)組が、惜しくも日本女子ペアとして4大大会初の優勝を逃した。第6シードのクレイチコバ、シニアコバ(ともにチェコ)組に3-6、3-6のストレートで敗れた。しかし、決勝進出も日本女子ペアとしては史上初で、日本のテニス界に新たな歴史を刻んだ。2人合計の賞金28万ユーロ(約3640万円)を獲得した。

 赤土にはテニスの悪魔がすむという。球足が遅く、ラリーが続くため、最も番狂わせが多いと言われるのが、その理由だ。ノーシードの“エリマコ”も、その悪魔に魅入られ快進撃。しかし、最後に悪魔に裏切られた。最後、二宮が苦手なスマッシュをミス。穂積は「悔しくて涙が出そうだった」と沈んだ。

 少し気持ちが空回りしたかもしれない。強打が得意の相手が、回転をかけた球でペースを遅くしたことも意外だった。穂積は「プレーのリズムが遅くてやりづらかった」。快進撃の原動力となったロブも、ペースが遅く追いつけるため、決定打にはならなかった。

 しかし、準優勝でも4大大会日本女子ペアでは初の快挙だ。2人とも違ったペアで4大大会の4強を経験し、今回の決勝で、1歩ステップは上がった。「次につながる。下を向くような感じではない」と穂積は胸を張った。

 悔しさで「優勝トロフィーにチューしたかった」と話す二宮だが、20年東京オリンピック(五輪)までダブルス優先で転戦することを宣言した。「東京五輪でメダルを取れるチャンスがあるならダブルスだと思った。シングルスを捨てても究めたい」。

 シングルスへの思いもあった。今年に入り、コーチや家族と何度も話した。しかし、今回の決勝進出で「(ダブルス優先を)確信した」。穂積は、8月のアジア大会のシングルスに出場予定で、優勝すれば東京五輪代表第1号になる可能性がある。「わたしは単複に出たい」と思いを口にした。

 この日は敗れたが、十分な金メダル候補だ。7月2日開幕のウィンブルドンは互いに別の相手と組むが、穂積は「真琴と組めれば(東京では)メダルを狙える」。その東京までの2年間で、今度こそは2人は4大大会優勝を手に、地元の五輪に挑む。【吉松忠弘】

 ◆穂積絵莉(ほづみ・えり)1994年(平6)2月17日、神奈川・平塚市生まれ。8歳でテニスを始め、06年全日本ジュニア12歳以下単優勝。11年全豪ジュニア複準優勝。12年にプロに転向し13年全日本選手権単優勝。16年カトウィツェオープンのダブルスで自身初めてのツアー優勝を遂げた。17年全豪複4強。日本テニス協会ナショナルチーム2020年強化メンバー。168センチ、60キロ。世界ランクの自己最高位は単144位、複29位。

 ◆二宮真琴(にのみや・まこと)1994年(平6)5月28日、広島市生まれ。6歳でテニスを始め、11年全日本ジュニア18歳以下複優勝。同年全仏ジュニア複ベスト4。13年にプロに転向し14年全日本選手権複優勝。16年ジャパン女子オープンのダブルスで自身初のツアー優勝。17年ウィンブルドン複4強。日本テニス協会ナショナルチーム2020年強化メンバー。157センチ、53キロ。世界ランクの自己最高位は単280位、複35位。

 ◆WOWOW放送予定 14日午後4時半、午後5時半、午後6時半、午後8時から。男女シングルス決勝など。17日午後7時から総集編。WOWOWライブ。録画。