釜石タタナ7人制W杯代表合宿へ、東京五輪も狙う

W杯初出場を目指す釜石シーウェイブスのFWタタナ(撮影・保坂果那)

 もうひとつのワールドカップも近づいている。7人制ラグビーの男子日本代表候補、札幌山の手高出身のFWダラス・タタナ(26=釜石シーウェイブス)が、W杯(7月20日開幕、米サンフランシスコ)出場を目指し、札幌・定山渓で代表候補合宿に参加している。19日も約1時間半、パス練習などで汗を流した。15人制日本代表主将のリーチ・マイケル(29)は高校、大学の先輩。先人に続くべく、初めての大舞台、そしてその先の20年東京オリンピック出場を目標にアピールしている。

 タタナが初の大舞台へ向けて、高校時代を過ごした札幌で自らを追い込んでいる。7月のW杯に出場する代表候補が集まる合宿。持ち前のフィジカルの強さを生かし、存在感を放っている。この日の練習でも、今日20日のオーストラリア代表との合同練習に向けて、動きを確認した。「世界の大きな大会だから出たいし楽しみ」。7月初旬に発表される最終メンバー入りへ、意欲を示している。

 7人制ラグビーは16年リオデジャネイロ大会から夏季五輪正式種目に採用された。同年11月、15人制と比較して、よりスピードが求められる同代表に初招集された。昨年10月、アジアシリーズ総合1位を決めたスリランカ大会でW杯出場権獲得に貢献。2年後に控える東京五輪が「今、1番の目標」。出場資格を得るため、日本国籍取得に動いている。

 日本代表まで上り詰めた成長の礎が、北の大地にある。08年、ラグビーの本場ニュージーランドから北海道に留学した。「土のグラウンドなんてニュージーランドにはないからびっくりした。傷だらけになった」。母国と異なる環境に戸惑った札幌山の手高での3年間。「仲間も先生(佐藤幹夫監督)も夏の涼しさも好き」と、思い入れは人一倍強い。

 東海大卒業後、現在トップチャレンジリーグに所属する釜石SW入り。プロ契約ではないため、午前5時半からの朝練習後は、釜石市内のホテルでフロントとして勤務。午後6時から再び約2時間の練習をこなしている。「ずっと立っているので疲れる」と苦笑いしながら「街の人がラグビー好きで応援してくれる」と力をもらい、奮い立たせている。

 学生時代から現在に至るまで、高校、大学の先輩リーチ・マイケルから大会前に激励のメールをもらってきた。「『次のリーチ・マイケル』と言われるのはプレッシャーだけど、僕は僕」。世界の頂点を決める舞台に立ち、憧れの存在に少しでも近づく。【保坂果那】

 ◆ダラス・タタナ 1991年8月27日生まれ、ニュージーランド・クライストチャーチ出身。13歳でラグビーを始め、08年にパパヌイ高から、札幌山の手高に留学。2、3年時に花園出場。東海大では2年時に関東大学リーグ優勝。15年に釜石SW入り。チームでは主にNO8を務める。7人制日本代表では主にプロップ。家族は両親と姉4人、妹1人。186センチ、100キロ。

 ◆7人制ラグビーW杯 16年リオデジャネイロ大会で五輪種目に採用されたことで、4年に1度の開催サイクルが変更。今大会は13年のモスクワ大会以来、5年ぶり7度目の開催となる。出場は24チーム。日本は93年の第1回大会から連続出場しているが、1次リーグ上位による決勝トーナメント進出経験はない。