錦織に高いジョコの壁…13連敗 勝ち方見つけられん

準々決勝でジョコビッチにポイントを奪われ厳しい表情を見せる錦織(ロイター)

<テニス:ウィンブルドン選手権>◇11日◇ロンドン郊外オールイングランド・クラブ◇男子シングルス準々決勝

 世界28位の錦織圭(28=日清食品)が、1933年(昭8)の佐藤次郎以来、日本男子85年ぶりの4強入りを逃した。過去2勝13敗と苦手にしている元世界王者で同21位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)に3-6、6-3、2-6、2-6で敗れた。それでも自身初のベスト8に進み、4大大会すべてで8強以上を記録した初の日本男子になった。錦織は一時帰国し、夏のハードコートシーズンに備える。次戦は、30日開幕のシティオープン(米ワシントンDC)の予定。

 お互いに最高のラリー戦を序盤から展開した。ドロップショットの応酬でジョコビッチが点を奪えば、錦織はまた抜きショットからバックのパスを抜き、超満員のセンターの観客を総立ちにさせた。レベルの高いラリー戦だが、第1セットはジョコビッチが上回った。

 第2セット、錦織はネットに活路を求めた。ジョコビッチのバックに球を出し、ネットに詰める作戦が功を奏した。焦る相手のミスを誘い、ジョコビッチは、途中でラケットを投げる場面も見られた。

 ウィンブルドンで8強に入るのに10年かかった。同様に4大大会で、いつもジョコビッチは高い壁だった。いつも、そこにはジョコビッチがいた。14年全米準優勝したときに、準決勝で対戦したのがジョコビッチだ。その時には勝ったが、その後、12連敗を喫した。

 フェデラー、ナダル、マリーを含め、テニス界ではビッグ4という。その中で「ジョコビッチだけは、勝ち方を見つけられない」と錦織はこぼしたことがある。他の3人には勝ち方は分かっており、それがコート上でできるかどうか。しかし、ジョコビッチだけは「似たタイプで。全体的に自分より上」と、苦手意識が強かった。

 第3セットもジョコビッチの強烈なサーブと正確なショットに押され、2-6と失った。必死に巻き返しを図ろうとした錦織だったが、立て直せなかった。左右に正確なショットで振られ、ポイントを奪われる。険しい表情で錦織は額の汗をぬぐった。結局、第4セットも押し切られてしまった。

 4回戦でガルビス(ラトビア)を破った後に「新しい戦い。優勝するにはタフな戦いが続く」と頂点を見据えて宣言。初の4大大会制覇の夢も抱いたが、またしても天敵の前に散った。【吉松忠弘】

 ◆WOWOW放送予定 12日午後8時50分から。13日午前1時から。ともにWOWOWライブ。女子シングルス準決勝ほか。生放送。