池江璃花子、専門外200自銀 女王レデッキー破る

女子200メートル自由形決勝 池江は日本新記録で銀メダルを決めガッツポーズ(撮影・浅見桂子)

<競泳:パンパシフィック選手権>◇第1日◇東京辰巳国際水泳場◇女子200メートル自由形決勝

 東京生まれのヒロインが、爆発した。女子200メートル自由形で池江璃花子(18=ルネサンス)が、日本新記録の1分54秒85で主要国際大会初の銀メダルを獲得。自身の記録を0秒19も更新した。自由形3種目で世界記録を持つケイティ・レデッキー(米国)に先着。混合400メートルメドレーリレーでも第3泳者を務めて、日本記録3分40秒98で銀メダル。18歳が、オリンピック(五輪)がある東京で国内レベルを超えて、世界レベルになった。

 池江が、ついに世界レベルに到達した。1分54秒85の日本新は、昨年世界選手権銀相当の好タイム。しかも、五輪2大会で金メダル5個のレデッキーを逆転しての銀メダル。「本当にうれしいですし(自己)ベストが出ると思ってなかった。2位になって、観客の声援がすごくうれしくて、これを東京でもやりたい」。

 本命の100メートルバタフライを前に今大会初レース。予選は全体の7位だった。「自分は世界の自由形では弱いんだな」と開き直ったことで爆発した。メダル圏内の3番手で150メートルをターン。レデッキーは800メートルに続くこの日2種目目ではあったが、しっかり抜いた。銀メダルを確認して、右拳をグッと握りしめた。日本代表の平井コーチが「金メダルに匹敵するレベルの高いレースだ」とほめた。

 4月の日本選手権後。飛躍のために所属先が新コーチ探しに着手した。5月上旬、都内の所属クラブで五輪2度出場の三木コーチと初対面。その席で、東京五輪での目標を確認した。

 三木コーチ 何で金メダルをとりたいか?

 池江 1バタ(100メートルバタフライ)です。

 地力アップのために2人で「自由形もきっちりやらなければいけない」という共通認識を得た。三木コーチは「本人はちゃんと理解していた」。筋力アップのために懸垂を導入したが、三木コーチに勝負を挑んで「絶対勝ちます」と宣言する。「男女の差があるのに。何よりも負けず嫌い」と三木コーチ。勝負はいつも池江の勝ち。本命種目以外でも力を注いだ努力が、いきなり結果につながった。

 主要国際大会で初めて上がった表彰台。「うれしかったけど(1位ラックの)カナダの国歌斉唱を聞いて、自分で君が代を流したいと思いました」。明日11日の100メートルバタフライは金も視野に入る。建設中の五輪会場「オリンピック・アクアティクス・センター」からわずか徒歩8分のホーム辰巳。2年後の東京五輪を見据えて、スパークはこれからだ。【益田一弘】