大坂なおみ22ゲーム連取 コーチから「忍耐」学んだ

サスノビッチを下した大坂(ロイター)

<テニス:全米オープン>◇1日(日本時間2日)◇米ニューヨーク◇女子シングルス3回戦

世界19位の大坂なおみ(20=日清食品)が、自身初の全米16強入りを完封試合で成し遂げた。同33位のサスノビッチ(ベラルーシ)に6-0、6-0の50分で完勝。ツアーでは自身初の完封で、2回戦の第1セット2オールから22ゲーム連取の快進撃だ。全米16強入りは、日本女子として04年杉山愛、浅越しのぶ以来14年ぶり。4回戦で4大大会自身初の8強入りをかけ、同20位のサバレンカ(ベラルーシ)と対戦する。男子の錦織圭(28)と並び日本男女がともに16強入りは全米史上初。

愛称、なおみ“新幹線”が止まらない。2回戦の第1セット2オールから、超特急の高速22ゲーム連取。過去2年、超えられなかった3回戦の壁を突破し「ほぼ完璧だった。何か新しい感覚がわいてきた」と、異次元の領域を味わった。

ツアーの下部大会でも、完封は13年米ロックヒル大会予選1回戦で達成した1度だけ。それでも完璧主義者の大坂は「満足することなんてない。もっとうまくなれる」とにやり。その向上心は手がつけられない。

滑り出しの第1ゲームがカギだった。自分のサーブで3本連続のブレークポイントを握られた。しかし、「できるだけ返球し、ラリーを続けよう」と、合計4本のブレークポイントをはね返し、そこからはまさに、独り舞台の大坂劇場。2回戦と並ぶ4大大会自身最短の50分でけりをつけた。

時速200キロを超えるサーブや、ストロークの強打が武器だ。これまでは凡ミスも多く自滅も目立った。昨年末に就任したバジン・コーチから学んだのが「忍耐」。この日の凡ミスは、2セットでわずか3本で、「記憶がない」と本人も驚く。4倍の12本の決定打と合わせて、安定と強さの両面を併せ持ち、22ゲーム連取の快進撃につなげた。

この勝利で区切りのハードコート50勝目。今大会で、今年の獲得賞金も200万ドル(約2億2000万円)を突破し、「まだまだ行けるわよ」。昨年7月、練習を共にしたストリコバ(チェコ)に“新幹線”と愛称をつけられた大坂は、ノンストップ街道をまっしぐらだ。【吉松忠弘】

◆大坂(おおさか)なおみ 1997年(平9)10月16日、大阪市生まれ。3歳でテニスを始めた頃、米国に移住。13年プロ転向。今年のBNPパリバオープンで、4大大会に次ぐ規模の大会にツアー初優勝を遂げた。父のレオナルド・フランソワさんはハイチ出身の米国人で、母環(たまき)さんが日本人。日米の二重国籍。姉まりもプロテニス選手。自己最高世界ランクは17位。好きな音楽はラップ。趣味はゲーム。180センチ、64キロ。

◆全米の完封試合 68年オープン化(プロ解禁)以来、大会女子シングルスで完封試合は、大坂を含めて43試合。最も多かったのが13年の4試合だ。1試合もなかった年も計22年ある。今年はすでに、84年、02年と並び3試合。最多更新もあり得る。

◆WOWOW放送予定 3日午前7時55分から。4日午前0時から。ともにWOWOWライブ。男女シングルス4回戦ほか。生放送。