秋田「ペップ流」継続 東北アーリー杯連覇は譲れない

東北アーリーカップへ気合を入れる秋田ノーザンハピネッツのメンバー

プロバスケットボールBリーグで今季、東北勢で唯一トップリーグのB1に参戦する秋田ノーザンハピネッツが、新チーム初公式戦になる東北アーリーカップ(9月7~9日、ゼビオアリーナ仙台)で連覇を狙う。昨季B2で準Vに輝いたメンバー9人が抜けたが、新主将を務める俊野達彦(30)ら7選手が新加入。就任2年目のジョゼップ・クラロス・カナロス・ヘッドコーチ(49=ペップHC)の下で、同カップ連覇から初のチャンピオンシップ(CS)進出を目指す。

ハピネッツがB1復帰プレシーズンの試金石に挑む。東北アーリーカップは、東北6チームによるトーナメント戦。昨季は全チームがB2だったが、今季B1は秋田だけ。格下相手に負けるわけにはいかない。

昨季B2では、破竹の22連勝を含むレギュラーシーズン54勝6敗。勝率9割はリーグ1位だった。プレーオフで惜しくも準優勝に甘んじたが、就任1年でB1復帰に導いたペップHCは「台風の目になれる」と、8月中旬のチーム合流から精力的に指導する。

昨季終了後、地元秋田出身で主将も務めた田口成浩(28=千葉ジェッツ)ら9選手が移籍や引退などでチームを離れた。代わって選手間投票で新主将に選ばれた俊野ら7選手が加入。平均年齢は昨季リーグ開幕時の約28歳から1歳以上も若返った。ペップHCは「選手が変わってもスタイルは変わらない。今年の選手も能力が高いので、去年以上の結果を残したい」と手ごたえを口にする。

昨季B2ではリーグ最少の4062失点。「ペップ流」と形容される激しい守備と攻撃を連動させる、全面コートのディフェンスを生命線にする。新戦力獲得にあたっては、数字に表れない性格を重視。ペップHCは「他のチームスタイルでの数字は参考にならない」と、ハードワークを支える強い精神力を求める。

チームの柱だった田口の穴は全員で埋める。昨季B2スティール王の中山拓哉(24)と同ブロック王のカディーム・コールビー(28)に加え、ともに日本代表強化指定経験のある白浜僚祐(27)と谷口大智(28)の主力4選手が健在だ。新戦力ではPGとSGをこなす俊野主将が、日本人最年長としてチームリーダーを担う。昨季までB2愛媛オレンジバイキングスでも主将を務めており、「(身長185センチの)サイズを武器にして、まずディフェンスでインパクトを出したい」と意気込んだ。

同じガード陣では、昨季B2青森ワッツで主将を務めた下山大地(29)が得意の3点シュートを含めてアウトサイドから切り込む。敵として秋田ディフェンスを体感しており、「自分がやると思うとワクワクする。シューターなのでシュートも決めたい」。若手PGの成田正弘(24)も各世代で日本代表を経験。「スピードを生かしたアグレッシブなプレーを」と、自身初のB1を心待ちにする。

日本人フォワードでは昨季までB1川崎ブレイブサンダースの野本健吾(26)が控える。青山学院大在学時に日本代表入り。身長200センチのビッグマンながら、動きは機敏で「新鮮で楽しい。100%自分の力を100%出し切りたい」と初移籍にも戸惑いはない。下山貴裕(26)も「信頼を得て少しでも多くコートに立ちたい」と、得意のオフェンスリバウンドなどで勝利に貢献する。

ともに身長200センチ超の外国人ビッグマン2人も加わった。ニカ・ウィリアムス(31)は昨季、俊野主将と同じ愛媛でプレー。フィールドゴール成功率62・6%でリーグ1位に輝いた。将来は日本国籍取得も考えており、「日本が大好きです。全力を出してポジティブなエナジーを与えたい」とチームに溶け込んでいる。ジャスティン・キーナン(30)は内と外、両サイドでもプレーできるオールラウンダー。「CSに向けて全てをささげてプレーしたい」と話した。

今季スローガンは「やってやろう」を意味するスペイン語の「Vamos!(バモス)」に決まった。ペップHCは「秋田のブースターは日本一。勝っている時も負けている時も同じように応援してくれる。子供たちの記憶に残る試合をしたい」と言葉に力を込めた。【佐々木雄高】