大坂なおみ覚醒「以前とは別の選手」強打+粘り

女子シングルス準決勝でキーズに勝利し、決勝進出を果たした大坂はファンに手を振って応える(撮影・菅敏)

<テニス:全米オープン>◇6日(日本時間7日)◇ニューヨーク◇女子シングルス準決勝

世界19位の大坂なおみ(20=日清食品)が日本女子で初めて4大大会シングルス決勝に進む快挙を遂げた。前年準優勝で同14位のマディソン・キーズ(米国)を6-2、6-4で破った。男女を通じて日本初となる4大大会シングルス優勝を懸け、日本時間9日午前5時からの決勝で元世界女王のセリーナ・ウィリアムズ(米国)と対戦する。

現地時間、午後10時22分。雷と嵐のため、屋根を閉めた世界最大のセンターコートに、大坂の歓喜の声がこだました。それは、日本女子の歴史が変わった瞬間だった。「現実とは思えない。すごく疲れたけど、頑張ったよ」。大坂がついに覚醒した。

4年前に錦織が決勝に進み、日本男子の歴史を変えた。そして、日本女子の歴史も動いた。史上初の決勝では、4大大会歴代最多24勝目を狙うセリーナが待ち受ける。子どものころから憧れ続けた伝説の女王に「大好き。セリーナと戦いたいとだけ思っていた」と、思わずラブコールだ。

歴史を動かしたのは、以前とは全く別人の“ニューなおみ”だった。過去3戦全敗のキーズとの対戦は「強打一辺倒だった」。しかし、この日はイチかバチかの姿は消えた。「できるだけ我慢して、チャンスを待った」。決定打は相手より10本下回った。しかし、ミスは22本少なく、安定性で金字塔を打ち立てた。

合計13本のブレークポイントを握られながら、全て逃れた。第1セットの1-2から、自分のサービスゲームでは0-40の大ピンチ。そこを落とせば、流れは相手にいってしまう。しかし、全て逃れた。第2セットの第2ゲームも、6本のブレークポイントを握られた。それも「嵐が過ぎ去るのを待った」と冷静に切り抜けた。

3月のBNPパリバ・オープンでツアー初優勝。しかし、その後は重圧で押しつぶされそうになった。全米前哨戦の3試合では1勝3敗。最後のウエスタン・アンド・サザン・オープンは初戦で敗退し「ロッカーで泣いちゃった。テニスに向いていないって」。

それを支えたのが家族やスタッフだ。大坂を奮い立たせ、温かく包み込んだ。「ここに来て、テニスを楽しんで、全てを出し切ろう」と思った。そして「わたしは以前とは別の選手」とたくましさを増した。

今大会、セリーナの全試合を見ている。「子どものころから、4大大会の決勝でセリーナと対戦するのを夢見ていた」。勝てるかという質問には「ノー」と即答。しかし、優勝スピーチについては「練習しなくちゃ」。日本人が誰も到達していない世界の頂点に向け、伝説の女王に挑む。【吉松忠弘】

◆大坂(おおさか)なおみ。1997年(平9)10月16日、大阪市生まれ。3歳でテニスを始め、4歳で米国移住。13年に15歳でプロ転向。16年に全豪で3回戦進出と躍進し、ツアー最優秀新人賞。今年3月にBNPパリバ・オープンでツアー初優勝。ハイチ出身の父と日本人の母を持ち、日米二重国籍。