錦織戦は…やっちまった男性記者 組み合わせ抽選会

錦織圭(2018年9月)

男子テニス・楽天ジャパンオープン日記<29日>

何てことだ。やっちまった。世界12位、錦織圭(28=日清食品)の1回戦の対戦相手が、同100位の杉田祐一(29=三菱電機)に決まった瞬間、報道陣から「え~!」と、残念がる声が上がった。その組み合わせを引き当てたのは、1人の男性記者だった。

この日、大会の本戦組み合わせ抽選会が行われた。皆さんは、どうやってテニスの大会の対戦組み合わせが決まっているか、ご存じだろうか。大会開始の数日前に、一般や報道陣に公開で抽選を行う。

4大大会などでは、一種のセレモニー的な要素もあり、開幕前の盛り上げに一役買う。この日の抽選会も、当初は屋外で一般のファンに公開で行う予定だった。しかし、降雨で屋内に変更。報道陣だけへの公開となった。

公開なのは、ずるをしていないことを証明するためだ。選手も証人として必ず立ち会い、完成したドローにサインする。この日、立ち会ったのはダニエル太郎(25=エイブル)だった。

抽選は、まずシードを振り分ける。今大会なら本戦に出場するのは32人。シードは8人で、第1シードが1番、第2シードが32番という、最も端に入る。残りのシードは、2人ずつ入る位置を抽選し、その後、ノーシードの選手を、開いた場所の最上位から入れていく。

今大会の抽選は、ATPが用意した数字が書かれたチップを使った。予選勝者4人の数を引いた本戦出場28人に、世界ランクが上の選手から番号を振り、チップの番号が、その選手となる。そのチップを引くのが、一般の人や報道陣だ。この日は報道陣とダニエルが引いた。

錦織は第3シードで、ドローの位置は24番。つまり、23番の位置が対戦相手となる。杉田のチップの番号は27番。男性記者が引いたチップは、その27番だった。ATPのスーパーバイザーのバーンズ氏が「ゆういち・すぎた」と読み上げると、どよめきが上がった。

なかなか盛り上がる。その男性記者のばつの悪そうな苦笑いが、ますます、その場を和ませた。選手の明暗を分けるのが、我々、報道陣の手にかかっているとは、原稿も手を抜けません。【吉松忠弘】

 

◆放送予定 楽天ジャパンオープン 10月1~7日。WOWOWプライム、同ライブで連日生中継。