<フィギュアスケート:西日本選手権>◇4日◇名古屋市ガイシプラザ◇女子フリー
ショートプログラム(SP)10位の細田采花(あやか、23=関大)が国際スケート連盟非公認ながら、浅田真央、紀平梨花に続いて3人目となるトリプルアクセル(3回転半)2本を成功させた。フリー2位の112・30点を記録し、合計164・52点で6位。全日本選手権(12月20日開幕、大阪)出場を決め「すごく温かい拍手がうれしかった。緊張しすぎて、どんな演技をしたか覚えていない」と号泣した。
全日本選手権出場枠はシードの紀平、前後に国際大会が重なった5人の免除者を除いた上位11人。SP終了時点で10位と当落線上だったが、朝の公式練習で腹をくくった。田村岳斗コーチから「フリップもアクセルもどっちも信用ないから、アクセルの方が点数が入る。こけてもアクセルの方が点数が高いよ」と背中を押され「スイッチが入った」と3回転半2本を決断した。
「(全日本選手権の切符は)考えてもどうしようもないので『楽しもう』と思いました。『スケートが好き』という気持ちで、戻ってきた舞台(現役)なので」
冒頭の3回転半には2回転トーループをつけ、2・08点の出来栄え点(GOE)を導く好ジャンプ。続いて2本目の3回転半をGOE+-0点ながら成功させ、場内は大歓声に包まれた。最後のスピンから拍手が止まらず、最後はスタンディングオベーション。「とにかく『こけてもいい』と思って(3回転半を)跳びました。それだけでパニック状態。初めての感覚でした」と無我夢中だった。
涙を流して氷から離れると、田村コーチからは「なんで泣いてんの?」とシュールなツッコミ。「キス・アンド・クライ」では得点発表前から手拍子が起こる、地方大会では異例の雰囲気を作り上げたのが細田自身だった。
関大4年時の17年1月には、引退を決断。チームメートからねぎらいの花束まで受け取ったが、2月に後輩の紀平に誘われて遊び半分で滑った際に、22歳で3回転半を初めて成功させた。大学は休学し、現役続行を決断。昨季の全日本選手権ではSP26位でフリーに進めず、フリーのみで予定していた3回転半に挑むことなく大会が終わった。「『この歳でも跳べるんだよ』っていうのを見せたいんです」。それだけのために現役を続けている。
今大会はSPで1本、フリーで2本の3回転半を組み込んだ。「今年は(全日本選手権で)ショート(SP)落ちしてもトリプルアクセルは跳ぶので」と冗談交じりに笑うが、狙うはこの日の再現だ。
「次の全日本でアクセルを跳びたい。ショート(SP)メインで練習します」
細田にしか伝えられない物語を、国内最高峰の舞台で披露する。