池江璃花子に奇跡を!白血病を世界に発信し情報期待

池江璃花子

20年東京五輪メダル候補の競泳女子の池江璃花子(18=ルネサンス)が12日、自身のツイッターで白血病と診断されたことを公表した。10日までのオーストラリア合宿で体調不良になった。8日に緊急帰国して病院で診断を受けて、入院した。4月の日本選手権を欠場することになって、今夏の世界選手権韓国大会出場もなくなった。練習再開は未定で、20年東京五輪も不透明な情勢。それでも五輪の夢を抱いて治療に専念するため闘病生活に入った。

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日本全国に衝撃が走った。午後2時、池江が白血病を公表した。「このたび、体調不良としてオーストラリアから緊急帰国し検査を受けた結果『白血病』という診断が出ました。私自身、いまだに信じられず、混乱している状況です。ですが、しっかり治療をすれば完治する病気でもあります」とつづった。そして「今は少し休養をとり、治療に専念し、1日でも早く、また、さらに強くなった池江璃花子の姿を見せられるように頑張っていきたいと思います」と続けた。

日本水連と所属先は2時間後に緊急会見を行った。オーストラリア・ゴールドコースト合宿は1月18日から2月10日までで練習メニューは日本と同じだったが、池江を指導する三木コーチは「2週目の後半からしんどい姿を見せた。今まで見たことがないような、肩で呼吸をしていた」。2月4日に日本人医師がいる現地の病院で血液検査。すぐに帰国することを勧められた。合宿を切り上げて8日朝に帰国して病院に直行。「白血病」という診断を受けて、そのまま入院した。

池江が今春から進学する日大の監督で病院に付き添った日本水連の上野副会長は「まさか池江がこういう病名を言われるとは。病名は衝撃的だったと思います。でも1時間もしないうちに前向きな言葉が出てきた」。2日遅れの10日に帰国した三木コーチは病院で池江と対面した。三木コーチは「最初はお互いに言葉が出なかったです。でも(池江から)『早く治してまた二郎さん(三木コーチ)と一緒に練習を頑張りたい』というのがあった」。その上で「本人の病気に立ち向かう姿勢は頭が下がる」とした。

衝撃的な病名だが、本人の希望もあり公表に踏み切った。入院からまだ4日で「骨髄性」「リンパ性」などの詳細は今後の検査による。日本で世界大会代表クラスで白血病になったケースがなく、日本水泳界として未知の領域。病気を公表することで他競技や世界中からSNSなどで情報が集まることも期待している。

現在は無菌室などではなく、一般的な病室にいる。抗がん剤の治療などに入れば、ひと区切りまで半年程度はかかり、状況が良くなっても練習を再開できるかは未知数。東京五輪には代表選考会である20年4月の日本選手権に出る必要がある。上野副会長は「先々、非常に厳しい道のりになると思いますが、20年東京五輪の選考会のスタートラインに立てるように温かく見守ってほしい」と呼びかけていた。【益田一弘】

◆白血病 原因もなく、血液中の白血球が無制限に増殖する病気。赤血球、血小板が徐々に減少し、息切れ、どうき、貧血などの症状が出る。急性型、慢性型、特殊型などのタイプがあり、それぞれの型の中に骨髄性、リンパ性、単球性などの種類がある。最も患者数が多いのは急性骨髄性白血病で、次に多いのが、慢性骨髄性白血病。20代以上の大人の病気で、50%の確率で脾臓が大きくなり、末期には急性転化で急激に病状が悪化する。