16歳令和の新ヒロイン難波実夢400自で逆転初V

女子400メートル自由形1位の難波(撮影・河田真司)

<競泳:日本選手権兼世界選手権代表選考会>◇第1日◇2日◇東京辰巳国際水泳場◇女子400メートル自由形決勝ほか

16歳の新星が飛び出した。女子400メートル自由形で予選2位の高校2年生、難波実夢(みゆ=MGニッシン)が、同種目7連覇を狙った五十嵐千尋(23=T&G)を後半に逆転して初優勝を飾った。3月のジュニアオリンピック(JO)杯で短水路(25メートルプール)800メートル自由形で高校新記録を出した勢いそのままに、頂点に立った。20年東京オリンピック(五輪)新種目の1500メートル自由形を得意にしており、この勢いで同種目の世界選手権(7月、韓国)切符を狙う。

奈良・天理高2年の16歳が会場をどよめかせた。V7を狙う五十嵐を250メートルのターンで逆転。そのまま1秒以上の差をつけて押し切った。「五十嵐さんにしっかりついていきたい」というプラン通りのレース。高2になったばかりで日本一となり「後半しっかり追い抜いて、勝てたのはうれしい」と笑った。

168センチの恵まれた体。身長はまだ伸びている。水泳は母に連れられて1歳から始めた。幼少期は短距離だったが、中学時代に指導者から長距離転向を勧められた。適性はぴたり。中2時のJO杯400メートル自由形で初優勝。今年3月には800メートル自由形(短水路)の高校記録も18年ぶりに更新した。長距離転向わずか3年弱で一気に日本の頂点に立った。難波は「昔は短距離がよかったけど、今は達成感があります」とにっこりだ。

あこがれる姿がある。昨年、日本水連の強化合宿で池江璃花子と一緒に練習した。白血病で闘病中で、欠場した池江について「水泳だけでなく、私生活の振る舞いも含め尊敬してます。いつも笑顔で明るいところがすてきです」。もちろん負けず嫌いなところも参考にする。優勝しても「タイムが良くなかったので」と100点満点は出さない。

400メートルを制したが、本命は東京五輪で採用された1500メートル自由形だ。「一番可能性があると思う。レースで泳いだのは昨年のジャパンオープンの1度だけです」。夢が実るよう「実夢」と名付けられた、怖いもの知らずの16歳。新元号「令和」で羽ばたくため、新種目で世界切符をつかみとり、夢の20年東京五輪につなげる。【松熊洋介】

◆難波実夢(なんば・みゆ)2002年(平14)5月31日、奈良県生まれ。1歳の時に水泳を始める。奈良・都南中学時代に短距離から長距離に種目を変更。天理高に在学中。尊敬する選手は池江璃花子。好きな食べ物は「白いご飯」。168センチ。