瀬戸Vで世界切符 打倒ケイリッシュへ限界思考排除

男子200メートルバタフライで優勝し観客の声援に応える瀬戸(撮影・滝沢徹郎)

<競泳:日本選手権>◇第4日◇5日◇東京辰巳国際水泳場◇男子200メートルバタフライ決勝ほか

男子200メートルバタフライで、瀬戸大也(24=ANA)が、3年ぶり4度目の優勝を飾った。スタートから先頭を譲らずに1分54秒44。

派遣標準記録も突破して4大会連続の世界選手権出場を決めた。第3日まで代表内定3人と実力者が苦戦する中で、17年同選手権銅メダリストの力をしっかり発揮。ポジティブ思考の24歳が、残り3日間も仲間を盛り上げる泳ぎを披露する。

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沈滞ムードは関係ない。瀬戸が、4大会連続世界切符だ。前半を54秒73で折り返し、後半に引き離した。第3日まで代表内定3人と苦戦ムードだったが「雰囲気は気にしなかった。みんな少し硬くなっている部分があるかも。自分を信じて泳げば記録を切れると思う」と会場に来た家族に格好いいパパの姿を見せた。

目指す相手がいる。17年世界選手権ブダペスト大会。400メートル個人メドレー銅メダルもライバル、ケイリッシュ(米国)に敗れた。自己ベストは2秒以上の差がついた。「頭のねじをぶっ飛ばしたい。『ばかじゃないか』という練習をしないと」と誓った。

昨年9月、千葉県九十九里浜。ヘルメット姿の瀬戸はバイクにまたがった。下半身強化でトライアスロンの大会に挑戦。1・5キロのスイムは2位に2分1秒差をつける断トツ。だがバイク40キロ、ラン10キロでどんどん抜かれた。成績は2時間50分4秒の93位。「勝負になんないです」。バイクでは女性選手に抜かれて「マジかよ、弱っ」とがっくり。そんなかっこ悪さも強くなるために受け入れる。「陸上を50キロも移動するなんて。でも面白い」。今は自宅にバイクを置いて、汗を流す日々だ。

昨年12月には短水路(25メートルプール)で世界記録1分48秒24を出して自信をつけた。欠場したライバル萩野の復活を願いつつ「勝負は勝負」と自らのレベルアップに余念がない。世界選手権で金メダルをとれば、東京五輪に内定。「2大会連続メダルを、いい色なら内定になる。ベストパフォーマンスをしたい」。残りの200メートル、400メートルの個人メドレーでもスカッとした泳ぎを見せる。【益田一弘】