聖火リレー被災地&世界遺産47都道府県「名所」判明

東京五輪聖火リレーのトーチを持つ野村忠宏氏(2019年3月20日撮影)

2020年東京オリンピック(五輪)の聖火リレーで全47都道府県のルート概要が27日までに判明した。来年3月26日に福島県のJヴィレッジ(楢葉町・広野町)を出発した聖火は、原発事故から9年、一部で避難指示が解除された原発立地町の大熊町などを通り、復興した地域を世界に発信する。

全国各地、世界遺産や名勝、64年東京五輪ゆかりの地などを巡り、同年7月24日、新国立競技場の聖火台に点火される。ルートの詳細は6月1日に発表され、ランナー募集は6月中に開始する。

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原発事故の影響を受け、今も避難指示区域がまたがりつつも一部で避難解除された大熊町、富岡町、浪江町、南相馬市、川内村、葛尾村、飯舘村などを聖火が通る。岩手県では陸前高田市の奇跡の一本松、宮城県では南三陸町のさんさん商店街が挙がった。復興の歩みを着実に進めている現状を世界に発信する狙いがある。

東日本大震災の被災地だけでなく、熊本地震の被害を受けた熊本城や益城町、豪雨による土砂災害を受けた広島県南部、大火に見舞われた新潟県糸魚川市、北海道胆振東部地震で大きな被害を受けた厚真町も通り、今も災害の爪痕に苦しむ地域を勇気づける。

スポーツの祭典を彩る場所も回る。98年長野冬季五輪で日本中が金メダルに沸いた白馬ジャンプ競技場や、1912年ストックホルム五輪で日本人初のオリンピアンになった金栗四三の生家がある熊本県和水町、19年ラグビーワールドカップ(W杯)を開催する埼玉県の熊谷ラグビー場なども組み込まれる予定。

世界遺産もふんだんにコース候補に挙がった。日本初の世界文化遺産になった姫路城(兵庫県)、富士山(静岡県、山梨県)、厳島神社(広島県)、今年7月に世界文化遺産登録を目指す百舌鳥・古市古墳群(大阪府)などだ。

千葉県の出発地は東京湾に浮かぶ海ほたると、斬新さを見せる。そして開催地、東京の出発地は64年東京五輪の会場だった駒沢オリンピック公園。世界自然遺産の小笠原諸島なども回り、区部では銀座、日本橋、六本木、都庁などを巡る予定。壮大な121日間の聖火リレーはまさにニッポンの今を世界にプレゼンするルートとなる。

 

★東京五輪聖火リレーで通る47都道府県の主な名所

<1>福島県 Jヴィレッジ出発、鶴ケ城(3月26~28日)

<2>栃木県 日光東照宮(3月29・30日)

<3>群馬県 草津温泉、富岡製糸場(3月31~4月1日)

<4>長野県 白馬ジャンプ競技場、善光寺(4月2・3日)

<5>岐阜県 馬籠宿、岐阜城(4月4・5日)

<6>愛知県 名古屋城、犬山城(4月6・7日)

<7>三重県 伊勢神宮、伊賀忍者の伊賀市(4月8・9日)

<8>和歌山県 那智の滝、高野山(4月10・11日)

<9>奈良県 平城京跡、東大寺(4月12・13日)

<10>大阪府 万博記念公園、百舌鳥・古市古墳群(4月14・15日)

<11>徳島県 鳴門海峡(4月16・17日)

<12>香川県 瀬戸大橋(4月18・19日)

<13>高知県 桂浜、四万十川(4月20・21日)

<14>愛媛県 松山城(4月22・23日)

<15>大分県 別府温泉、原尻の滝(4月24・25日)

<16>宮崎県 高千穂神社、青島(4月26・27日)

<17>鹿児島県 桜島、佐多岬(4月28・29日)

<18>沖縄県 首里城、平和祈念公園(5月2・3日)

<19>熊本県 金栗四三の生家がある和水町、熊本城(5月6・7日)

<20>長崎県 対馬・壱岐・五島の離島、平和公園(5月8・9日)

<21>佐賀県 吉野ヶ里歴史公園(5月10・11日)

<22>福岡県 博多駅前、宗像・沖ノ島と関連遺産群(5月12・13日)

<23>山口県 錦帯橋(5月14・15日)

<24>島根県 出雲大社(5月16・17日)

<25>広島市 平和記念公園、厳島神社(5月18・19日)

<26>岡山県 岡山城(5月20・21日)

<27>鳥取県 鳥取砂丘(5月22・23日)

<28>兵庫県 姫路城、竹田城跡(5月24・25日)

<29>京都府 天橋立、平安神宮(5月26・27日)

<30>滋賀県 八幡堀、彦根城(5月28・29日)

<31>福井県 永平寺、気比の松原(5月30・31日)

<32>石川県 金沢駅(6月1・2日)

<33>富山県 合掌造り集落(6月3・4日)

<34>新潟県 大規模火災から復興する糸魚川市、佐渡金銀山遺跡(6月5・6日)

<35>山形県 上杉神社、山寺(6月7・8日)

<36>秋田県 なまはげ伝説の地・赤神神社五社堂(6月9・10日)

<37>青森県 白神山地、立佞武多(たちねぷた)の館(6月11・12日)

<38>北海道 ばんえい競馬場、地震の被災地・厚真町(6月14・15日)

<39>岩手県 奇跡の一本松、中尊寺(6月17~19日)

<40>宮城県 松島、さんさん商店街(6月20~22日)

<41>静岡県 富士山を望む駿河湾、韮山反射炉(6月24~26日)

<42>山梨県 富士山・南アルプス・八ヶ岳を望むコース(6月27・28日)

<43>神奈川県 鶴岡八幡宮、横浜赤レンガ倉庫(6月29~7月1日)

<44>千葉県 海ほたる、成田山新勝寺(7月2~4日)

<45>茨城県 袋田の滝、霞ヶ浦(7月5・6日)

<46>埼玉県 熊谷ラグビー場(7月7~9日)

<47>東京都 駒沢オリンピック公園、銀座、日本橋、新国立競技場(7月10~24日)

 

◆東京五輪の聖火リレー 20年3月12日、ギリシャのオリンピアで採火式が行われ、同20日に宮城県東松島市にある航空自衛隊松島基地に到着する。その聖火は宮城、岩手、福島の3県で2日ずつ「復興の火」として展示した後、同26日、福島県Jヴィレッジから聖火リレーとしてスタートする。東日本大震災の被災地、岩手、宮城、福島3県と、東京都外で複数の種目を実施する千葉、神奈川、埼玉、静岡の4県は3日間、開催地東京は15日間、それ以外の道府県は2日間のリレーが行われる。移動日を含め121日間のリレーとなる。