「枕をおさえる」武蔵流で錦織が好発進/堀内氏分析

錦織圭対カンタン・アリス 第2S、強烈なレシーブを放つ錦織(撮影・山崎安昭)

<Kei’sカルテ 亜大総監督・堀内昌一氏が分析>

<テニス:全仏オープン>◇26日◇フランス・パリ◇男子シングルス1回戦

世界7位の錦織圭(29=日清食品)が、10度目の全仏挑戦で好発進した。大会推薦出場のカンタン・アリス(フランス)を6-2、6-3、6-4の2時間で下し、5年連続で初戦を突破した。

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宮本武蔵はその兵法をまとめた「五輪書」に「枕をおさえる」と書きしるしている。相手と対峙(たいじ)した際、その意図を事前に察知して先手を打って出はなをくじき、その後を封じるということだ。錦織はまさに武蔵のような戦いでアリスに快勝した。

私は注目したのはゲームのファーストポイント。特に第1セット、錦織は全8ゲーム中7ゲームで最初のポイントを奪った。第2セットは9ゲーム中5ゲーム、第3セットは10ゲーム中7ゲームだった。先手必勝。ファーストポイントを奪った計19ゲーム中17ゲームを制している。

アリスとは初対戦で手探りの部分も多かっただろう。ただ、パワフルなショットを持ち、勢いに乗せるとやっかいな選手であることは分かっていたはず。しかもフランス人でローランギャロスがホームコートという。完全アウェーの中で各ゲームごとに先手を取ることに注力し、プレッシャーをかけてその持ち味を封じ込んでしまった。

第3セットでやや苦しんだのは、アリスがリスクを度外視して挑んできたからで、テニスの試合ではよくあることだ。ショットの切れやフットワークを見ても錦織のコンディションは良さそうだ。(亜大教授、テニス部総監督)