錦織、ナダルに完敗「メンタル面まだ十分じゃない」

ナダル戦でスマッシュを外して肩を落とす錦織(撮影・山崎安昭)

<テニス:全仏オープン>◇4日◇フランス・パリ◇男子シングルス準々決勝

世界7位の錦織圭(29=日清食品)が、赤土の絶対王者ナダルの前に力尽きた。

05年初出場初優勝以来、全仏90勝2敗の同2位、ラファエル・ナダル(スペイン)に1-6、1-6、3-6の1時間51分で完敗した。次戦は、17日開幕のゲリーウエバー・オープン(ドイツ・ハレ)に出場予定で、芝コートの初戦になる。

錦織は、3回戦で4時間26分、4回戦で2日がかりの3時間55分を戦い、体力的には限界だった。「昨日の試合の後、全く動けなかった」。エネルギーのタンクは、ゼロだったに違いない。しかし、それを、この日、ひと晩で、わずかだが「15とか20」に戻した。

過去の流れから、途中棄権も覚悟しただろう。それが「自分でも思ったよりも動けていた」。間違いなく、前日の4回戦の最後よりも足は動き、打つ球は伸びていた。ただ、タンクが満タンの100でも勝つのが困難なナダルには、15や20では全く通じなかった。

疲労で打点に届くのが、半歩遅くなる。加えて、ナダルの強烈な順回転のスピン球は、異常なほど跳ねて、錦織の体は伸び上がるか、バランスを崩す。半歩遅いステップで、バランスを崩しては「最初の2セットは、ぶっちゃけコートにいるのがつらかった」スコアとなった。

第3セットの2-4で、雷雨が襲った。試合中、見る見るうちに、黒い雲が上空に迫り雷鳴がとどろいた。試合は一時中断し、1時間10分後に再開した。「コーチと話して、やることが明確になった。光が見えて、もうちょっとやりたいと思った」。しかし、あまりにも遅かった。

18年ウィンブルドンから、自身初の4大大会4大会連続8強以上の成績を残した。しかし、「出し切ったことは出し切ったが、もうちょっと8以上は行きたかった」。それには、準々決勝までの試合運びに課題を残す。

ベスト8の8選手の中で、1試合平均時間3時間21分、1試合平均44・25ゲームはダントツに多い。「たぶん、メンタル面などで、まだ十分じゃない。しっかりとストレートで勝てるようにしたい」。わずかだけ油断したショットが、フルセットにもつれ込む原動力だったりするのだ。

それでも「クレーは、この2週間が1番、良かったのはポジティブ」。次は芝のシーズンだが「いい気分で入れる。しっかり休んで頑張りたい」。ネットプレーを多用したスタイルは、その芝で1番、力を発揮する。敗戦にも、錦織は前を向いた。

 

◆全仏オープンは、WOWOWで5月26日~6月10日、連日生中継。WOWOWメンバーズオンデマンドでも配信。