錦織は着実進化 8強入りで安定感証明/堀内氏分析

ナダル戦で悔しそうな表情を浮かべる錦織(撮影・山崎安昭)

<Kei’sカルテ 亜大総監督・堀内昌一氏が分析>

<テニス:全仏オープン>◇4日◇パリ◇男子シングルス準々決勝

 

世界7位の錦織圭(29=日清食品)が、同2位、ラファエル・ナダル(スペイン)に1-6、1-6、3-6で敗戦。日本男子として、33年佐藤次郎以来86年ぶりの全仏4強は来年以降に持ち越しとなった。

完敗だった。錦織はナダルの激しくスピンのかかった重く、深いボールに押された。オープンコートができるのを覚悟の上で決定打を狙っていったが、ことごとく切り返された。肉体的ダメージも大きく、スイングもフットワークも彼本来のものではなかった。だた、悲観することはない。

錦織のテニスは確実に進化している。昨年に比べて第1サーブの確率やネットプレーの決定力も向上した。今や代名詞になった前陣速攻のプレースタイルは他の追随を許さない。3、4回戦のフルセットマッチでの疲労を指摘する声もあるが、格下に取りこぼさず、勝ちきって4大大会で4大会連続ベスト8に進んだ安定感がその証明でもある。

世界のテニス界は驚くべきスピードで進化している。この試合でナダルは錦織の甘いボールにベースライン内に入って対応した。かつては見られなかった縦の動きだった。フェデラー、ジョコビッチもレベルを上げている。若手の台頭もある。だが錦織も進化を続けているし、まだ伸びしろは大きい。5セットマッチのハードな戦いは4大大会でしか経験できない。実戦に勝る練習はない。全豪に続く悔しい敗戦が必ず次に生かされると思っている。(亜大教授、テニス部総監督)