NBAの指名順はどうなっているの?/塚本清彦氏

NBAドラフトについて語る塚本清彦氏

<NBAドラフトを知ろう(上)~八村21日運命の日>

NBAドラフトが20日(日本時間21日)に行われる。今年は日本代表、八村塁(21=米ゴンザガ大)の1巡目指名が確実視され、注目度も高まっている。そこで連載「NBAドラフトを知ろう」では日刊スポーツのキャラクター「ブル男」がRakutenTV NBAコメンテーターの塚本清彦氏(58)を突撃。素朴な疑問に答えてもらった。第1回はNBA特有のドラフト指名順制度。

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Q(ブル男) NBAに日本人の八村選手が選ばれるって聞いたけど本当

A(塚本氏) そうだね。可能性はかなり高いと思う。日本人では81年の岡山恭崇さん以来2人目かな。契約すれば日本人初の快挙だね。

 

Q NBAドラフトはいつ、どこで行われているの

A 毎年6月第4週の木曜日にニューヨークのネッツのホーム、バークレイズセンターで行われる。30チームで指名は2巡するので全部で60人が選ばれるよ。

 

Q ドラフトでの指名順はどうなっているの

A その年度の最終成績をもとに決められるけど、シーズン成績で勝率の悪い順番から先に指名するウエーバー方式ではない。プレーオフにいけなかった14チームがまず、1位から14位までの指名順を決める抽選を行うんだ。これを「ロッタリー制」というよ。全30チームでシーズン勝率が最下位から28位が1位指名に当選する確率は最も高く14%、27位が12・5%、26位が10・5%…と順位が上がっていくにつれ、1位指名に当たる確率が低くなっている。今年は5月15日に指名順の抽選が行われ、1位指名は23位のペリカンズに決まった。当選確率は6%だったからラッキーだったね。

Q なぜそんな抽選をするのかな

A 以前は勝率の悪いチームから指名する方式だった。ところが下位争いをしているチームは、翌シーズンのドラフトでいい選手を獲得するため、わざと負けて勝率を下げようとしたんだ。そのため85年から同制度が取り入れられたよ。

 

Q ロッタリー制で問題は解消されたの

A 減ったけれども、完全になくなっていない。成績が悪いチームの方が1位指名を引く確率が高いのは確かだから。主力をトレードしたり温存して、負けようとするチームは観客も減少して視聴率は低下、放映権料は減り、選手の年俸が下がるという問題につながっているんだよ。

 

Q なぜそんなことまでして指名順を争うの

A NBAの登録人数は最大15人。野球やアメフットに比べて1人の選手がチームに与える影響が大きいからさ。希望選手が獲得できたら、翌シーズンは成績が大きく向上する可能性があるんだ。実際に91-92年シーズンに21勝61敗で地区最下位のマジックは92年ドラフト全体1位でシャキール・オニールを獲得。翌シーズンは41勝41敗の勝率5割と躍進。単純計算だけど20勝分を上積みしたよ。

 

◆塚本清彦(つかもと・きよひこ)1961年(昭36)2月26日生まれ。兵庫県出身。育英高から明大卒業後、日本鋼管に入社。ポジションは主にポイントガードとして日本リーグ優勝2度、93-94シーズンにベスト5。96年引退。明大、法大の監督を経て、現在はRakutenTVでNBAの解説を行う。

◆NBA 1946年に始まった世界最高峰のプロリーグ。東西のカンファレンスに分かれ、それぞれ3つの地区があり、米国29、カナダ1の30チームで構成。10月に開幕し、各チーム82試合を行った後、プレーオフを経て、6月のファイナルで王者を決める。最多優勝はセルティックスの17度。18-19シーズンはカナダを本拠地とするラプターズがウォリアーズを破って初優勝を飾った。