ウィンブルドンのウエアは白基調 色物下着も厳禁

錦織圭

<これを知っていればウィンブルドン通! 連載(1)>

7月1日にテニスの4大大会、ウィンブルドンが英国ロンドン郊外で開幕する。テニスの聖地とうたわれるセンターコートを舞台とした大会は、最も日本になじみ深い。その開幕を控え、3回にわたりウィンブルドンについて連載する。第1回は「これを知っていればウィンブルドン通!」だ。

 

ウィンブルドンは、1877年に始まった4大大会最古の大会だ。大きく異なるのは、他の4大大会が開催国の協会が主催するのに対し、ウィンブルドンは会場であるオールイングランドクラブの主催という点だ。他の4大大会が全豪、全仏、全米と称されるのに対し、ウィンブルドンはあくまでウィンブルドンであり、全英ではない。

そのため、独特の規則が存在する。そのいくつかを紹介しよう。

<1>ウエアの色は白基調

63年に決められた規則で、最初は「主に白」となっていた。95年からは「ほぼ完全に白」と書き換えられ、そのチェックは下着にまで及ぶ。色物の下着が、白いウエアから透けて見えるだけで着替えを命ぜられる。18年は男子のミルマン(オーストリア)が、その犠牲になった。

<2>テニスの聖地

テニスの聖地と呼ばれるセンターコートは1922年に完成した。オールイングランドクラブは、会員制の民間クラブであるにもかかわらず、会員でさえ、センターコートではプレーできない。特別な試合を除き、基本的には大会期間の2週間しか使用されないという特別な舞台だ。

<3>中日の日曜が休み

会場のクラブは閑静な住宅街が近い。大会期間中となれば、多くの観客が押し寄せ、その静けさは一変する。実は長年、男子シングルス決勝は土曜日に行われてきた。それを日曜に変更する代わりに、中日の日曜を休息日とし、近郊の住民に理解を得た。しかし、91年に前半の1週間が降雨に見舞われ、試合消化が遅れ、初めて中日の日曜日に試合が行われた。

<4>優勝者は名誉会員

シングルスの優勝者は、同クラブの名誉会員に推薦される。名誉会員になると、大会の指定された公式練習期間以外でもコートが使用できる。ただ、そこにも逸話が存在する。80年代に3度の優勝を誇るベッカー(ドイツ)が、大会前にコーチと練習していた。クラブの係員がやってきて「今すぐ練習をおやめ下さい」。ベッカーが自分は名誉会員だと告げると、係員は「ベッカー様は会員でも、コーチの方が会員ではありません」。

これは規則ではないが、ウィンブルドンの大会正式名称をご存じだろうか。「ザ・チャンピオンシップス」。これが大会の正式名称で、ウィンブルドンは会場がある街の名だ。それが通称となり、今では大会もその名を正式に使用している。

また、ウィンブルドンといえば雨が連想されるだろう。センターコートに屋根がつく前は、延々と雨で待たされるのが風物詩だった。それでは、1877年に大会が始まってから、雨のために全く1試合もできなかった日が合計何日あるだろうか。実はわずか32日しかない。雨が連想される大会でも、1日雨が降り続くことはめったにない。

 

◆ウィンブルドンは、WOWOWで7月1~14日、連日生中継。WOWOWメンバーズオンデマンドでも配信。