想定上回った五輪チケット落選者、当選放棄も相当数

五輪チケットの新たな抽選方法について説明する、左から大会組織委員会の鈴木秀紀チケッティング部長、古宮正章副事務総長、高谷正哲スポークスパーソン(撮影・三須一紀)

2020年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は4日、五輪チケット販売の1次抽選で1枚も当選しなかった落選者の救済策として「セカンドチャンス」と呼ぶ、新たな抽選を実施すると発表した。組織委の想像を大幅に上回る落選者が出たことが実施の主な理由。申込期間は8月中で、応募概要は今月中に公表する。秋以降に実施予定だった先着販売は、公式サイトへのアクセス殺到が見込まれることから取りやめ、誰もが申し込める2次抽選に変更した。

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6月20日の当落発表以降、外れた国民の不満感はSNSなどのインターネット上で充満した。組織委のチケット担当の役員、古宮正章副事務総長は「1次抽選で当たった人より、外れた人が圧倒的に多かった」と言い切り、「トライした方に少しでも五輪に参加していただきたい」と当初、計画になかった救済抽選を急きょ、組み込んだ。

救済抽選に参加できるのは、1次で申し込み、落選した人に限る。1次で当選しながらも購入を見送った人は参加できない。申し込めるのは1枠のみだ。

売り出されるチケットは1次で売れ残ったもので、倍率が1倍に満たなかった試合。例えば座席が数万席単位という球技などの団体競技の予選や、予選ラウンドが多い競技となる予定。人気があった開閉会式やメダル決定戦は販売しない見込み。

企画したもう1つの理由として、1次に当選しながらも期限までに購入しなかった枚数が相当数あることを挙げた。

組織委が開いた説明会では報道陣から「見通しが甘かったのでは」と、厳しい質問も飛んだ。1つのIDで最大30枚申し込める仕組みにより、当選者に偏りが出たのではとの指摘に、鈴木秀紀チケッティング部長は「過去大会に倣った」と説明。一方で、応募総数は組織委の想像をはるかに上回ったことは“誤算”だった。

当初の目標値は12年ロンドン大会の200万IDだったが、東京大会では5月の抽選申し込み開始時点で既に319万の登録者がいた。さらに伸び、現在では約750万。「うれしい悲鳴」だが、これが相当数の落選者を出した要因となった。

救済抽選が終わった後は、8月22日開始予定のパラリンピックチケットの抽選申し込み、その後、今秋以降に五輪チケットの2次抽選を行う日程。今秋に実施予定だった先着販売は、公式サイトにアクセスが殺到した反省を踏まえ、取りやめた。3次抽選の有無について鈴木部長は「現時点で未定」とし、含みを持たせた。今年の抽選販売状況にかかわらず、来春の店頭販売も必ず実施する。【三須一紀】

<東京五輪・パラリンピックチケット販売日程>

6月20日 1次抽選の当選発表

7月2日 1次抽選の購入期限(現金購入者は4日)

同4日 救済抽選「セカンドチャンス」を発表

同月中 救済抽選の応募概要を公表

8月中 「セカンドチャンス」の申し込み開始

8月22日予定 パラリンピックチケットの抽選申し込み開始

今秋以降 五輪チケットの2次抽選

20年春 店頭販売開始