乾、吉田組は高さと正確性で演技進化を/小谷実可子

デュエットテクニカルルーティン決勝で演技する乾、吉田組(ロイター)

<水泳:世界選手権>◇第3日◇14日◇韓国・光州◇デュエットテクニカルルーティン(TR)決勝

アーティスティックスイミング(AS)デュエットテクニカルTR決勝で、乾友紀子(28=井村ク)吉田萌(24=ザ・クラブピア88)組は、痛恨の4位発進となった。ロシア、中国に次ぐ3位を争うウクライナに04731点差をつけられて92・1116点。17年ブダペスト大会で五輪種目1勝3敗と負け越した相手に押される流れとなった。

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乾さんと吉田さんの演技はとても同調性がありました。ただエレメンツ間の足技で、吉田さんの高さが若干低いと感じる場面があり、後半は2人とも高さが落ちてきました。残念だったのは演技順が優勝したロシアの直後だったことです。高さやテクニックをロシアと比較して見られたことで、点数が抑えられたのかもしれません。

ライバルのウクライナは粗削りで、正確性を欠いたエレメンツもありました。ただ、あの体の大きさと長い手足は、出てきただけで周囲を「おっ」と思わせます。怖い者知らずにスピードを上げていく演技も勢いがありました。日本にとっては脅威ですが、世界の人から見ると大きな期待感を抱かせるデュエットです。

あと1年で日本がウクライナを上回るには、足の付け根まで水面に出るような高さを最後まで保ち、その上で1ミリの狂いもないように正確性を上げること。そうすれば演技がより大きく見えるはずです。そして、その進化した演技を五輪までの国際大会でアピールしていくことが必要です。乾さんと吉田さんには、それだけの伸びしろがあります。(88年ソウル五輪ソロ、デュエット銅メダリスト)