山本尚貴F1初参戦、10月鈴鹿へホンダなど後押し

F1日本GPでフリー走行出走を目指し準備を進めていることがわかった山本尚貴

10月11~13日に三重・鈴鹿サーキットで開催されるF1第17戦日本GPに向けて、国内トップドライバーの1人である山本尚貴が金曜のフリー走行出走を目指し準備を進めていることが27日、分かった。

昨年スーパーフォーミュラとスーパーGTの両選手権でチャンピオンに輝き、後者でコンビを組む2009年F1王者ジェンソン・バトンからも高く評価されている山本は、レッドブルからも評価を受けファクトリーを訪問。実際にF1ドライバーが使用するシミュレーターで最新F1マシンのフィーリングと操作系統を習熟した。そしてドイツGPが行われているホッケンハイムリンクを訪れ、レッドブル関係者だけでなくFIA(国際自動車連盟)とも協議を進めるという。

シミュレーターを経験した山本はF1のすごさを改めて痛感し、F1挑戦への思いをさらに強くしたと語った。「F1って操作が大変だろうなと漠然とは思っていたけど、シミュレーターに乗らせてもらったらメチャクチャ面白かったんです。純粋に自分の知らない世界を経験できたことが面白かったし、今の現役F1ドライバーが速く走るためにこれだけの操作、これだけの仕事量をしてるんだということが分かっただけでも僕はすごくプラスになりました。今まで自分が思っていたF1よりもさらに奥深さを感じましたね。すごい世界だなと思ったし簡単じゃないなとも思ったけど、だからこそよりいっそうこの世界にチャレンジしてみたくなりました」。

シミュレーターでは自身がよく知る鈴鹿と、今週訪れたホッケンハイムを丸1日にわたって走行。習熟作業をこなし、正確なフィードバックでチームからも評価を得たようだ。

スーパーフォーミュラで選手権をリードする山本だが、速いと言われるスーパーフォーミュラと比較してもF1は異次元の速さだった。しかしその新たな経験がF1挑戦へのさらなるモチベーションになったと山本は笑顔で語った。

「まず純粋にラップタイムが速いんで同じ鈴鹿とは思えませんでした(苦笑)。スーパーフォーミュラとは10秒くらい違って、流れる景色が全然違うんです。ラップタイムが10秒も違うと次に来るコーナーの感覚がスーパーフォーミュラよりも明らかに速くなるし、F1はその速さでマシンをコントロールするだけじゃなくて適切なマッピングを選択して速く走らせなきゃいけない。自分の頭で考えてこのダイヤルをこう使えばこのコーナーは速く走れるということをセッティングのアイテムとして採り入れなければいけない。より頭を使って、速く走る本能的なところも削いではいけない。これを同時にやるというのは簡単ではないし、正直言ってここから先は未知の世界です」。

ホッケンハイムではトロロッソのチームに同行し、ドライバーやエンジニアたちとコース視察を行ったり無線をつぶさに聞き取りながら自身の出走機会に向けた学習に充てた。

そしてその未知の世界である日本GPのフリー走行出走には、スーパーライセンスポイント規定の解釈をによってカウント数が変わるポイントが規定の40ポイントを超えていることを再確認することと、300キロメートルの走行実績が必要となる。山本とその出走を後押しするレッドブルおよびホンダは、その承認に向けてFIAと交渉を進め、なるべく早い段階で正式決定へと結びつけたい意向だ。(米家峰起通信員)