野口啓代が全5課題完登で準決勝進出「自分に集中」

ボルダリング予選を振り返る野口啓代(撮影・峯岸佑樹)

<スポーツクライミング:世界選手権>◇第1日◇11日◇東京・エスフォルタアリーナ八王子◇ボルダリング女子予選

18年世界選手権銀メダルで20年東京オリンピック(五輪)での現役引退を表明している野口啓代(30=TEAM au)が全5課題を完登し、B組首位で上位20人による準決勝に進出した。

昨季W杯ボルダリング年間女王の野中生萌(XFLAG)伊藤ふたば(TEAM au)倉菜々子(ウィルスタッフ)も突破。ボルダリングは12日に男子予選、13日に男女の準決勝と決勝が行われる。

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日本女子の第一人者は、「最後の世界選手権」で躍動した。野口は1課題目が最大の難所だった。三日月のような形状のホールド(突起物)が並び、両手を離しながらの体移動が難しく2度落下。3度目の挑戦で、くノ一のように「壁にへばりついて」攻略した。一気にギアが入り、残り4課題を完登した。「1課題目で落ちることは少ないけど、立て直せてメンタルも安定している。今日は『全部登ること』が目標だったので達成出来て良かった」。

大会はボルダリング、リード、スピード、五輪実施種目の複合の順で行われる。11日間と長丁場のため体力温存や体のケアも重要となる。12日は休養日となる野口は“長期戦”に向け、「指皮温存」にも配慮する。「体力よりも指皮が心配。クリームを塗るなど特別なことをしないため、しっかり食べて、しっかり寝たい」と自然回復に努める。ライバルで今季ボルダリングW杯6戦全勝のガンブレッド(スロベニア)は全5課題を一撃完登したが、あまり意識せず「自分に集中したい」と平常心を心掛ける。競技人生も残り1年。まずは、目の前のボルダリングでの初優勝を狙い「一番好きな種目で悔いの残らないパフォーマンスをしたい」と言葉に力を込めた。【峯岸佑樹】