水温下がらず開始前倒しも 五輪オープンウオーター

お台場海浜公園で行われたOWSの東京五輪テスト大会で、レインボーブリッジをバックにコースに向かう選手たち(撮影・益田一弘)

開始時間の前倒しも-。オープンウオーター(OWS)のオリンピック(五輪)テスト大会が11日、本番会場のお台場海浜公園で行われた。男子22人が午前7時、女子12人が午前7時2分に5キロのコースでスタートしたが、選手の健康面の懸念が浮上。国際水連(FINA)幹部から五輪本番開始を午前7時から早める提案が出た。

この日は午前5時で水温29・9度。FINAは医学的な根拠に基づき水温31度を競技実施のボーダーラインとする。大会を視察したFINAのマルクレスク事務総長は「何時に競技を実施するか。午前5時、5時30分、6時、6時30分と変更の可能性がある。私たちが気にするのは選手の健康」。組織委の森スポーツ局次長は「今回の結果も受けてここから検証する」。

FINAには苦い経験がある。10年10月にFINA主催のW杯UAE大会でフラン・クリッペンさん(米国)が猛暑の競技中に死亡。クリッペンさんは前年の世界選手権銅メダリストだった。関係者によると、この痛ましい事態を受け、FINAは水温の上限を検討した経緯があるという。時間変更はチケット、テレビ放送など各所との調整が必要だが、選手の安全よりも大切なものはそう多くない。

このテスト大会も当初は男子が10時開始だったが、FINAの要望で前日に3時間の前倒しとなった。その理由について、同総長は「シンプルに水温だ」と説明。女子で世界選手権代表の貴田裕美は「熱中症の不安をぬぐえなかった。高い水温は自分ではコントロールできないので」。OWSは8月5日に女子10キロ、同6日に男子10キロを開催。テスト大会で出た懸念を解消する時間は残されている。